詩/生きているということ
生きているということ
そばにいる者のために
少しだけ私を残して
じわり
私ではないものの温もりに包まれる
水溜まりに波が届く
蔑まれても
もう微笑み返すことぐらいか
誰の視線を気にとめるでもなく
ただ
名はそばにいる者のために。
低ければ低いほど
海が近い
私は誰か
この肉体を借りて
世界の片隅を覗いている
引き潮からはぐれた水溜まりを見守っている
人は困難によって海までの距離を測る
無私の苦悩は神の苦悩なので
少しだけ残された私を
苦しめはしない
そばにいる者以外には。
喜びもまた然り
2004年1月
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