詩/バランス

バランス

古着屋で800円で買ったジーンズ
膝から下を切り落として
暑過ぎる夏の ハーフパンツにした
左右の長さが微妙に違うけど
バランスなんか気にしてられない
左右の目の開き方も違えば
眉の高さだって違う
そういうもんだ

沿道の 氷の彫刻
完成の一瞬に届かぬままに
溶けていくから詩が流れ出す
丈夫な人で社会をまわして
壊れている人が詩を紡ぐ
そして、

丈夫な人が壊れそうな時に
その詩をさっと差し出すんだ
レオ=レオニの
フレデリックって絵本みたいに

行き先に応じて荷物を選び
それに合う鞄をさがせばいい
何が起きても万全なパッケージなんて
ありえないのさ

放浪か定住かなんて
誰も問うてない
移動と休息の狭間(はざま)に
滲(にじ)んでいてもいいんだよ
どの道、旅なのだから

最期まで逃げ切れたなら大したもんだ

2024年7月

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