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本を出す予定はないけど『本を出したい』を読んで考えたこと

ちょうど1年前の3連休。さとゆみライティングゼミの最終課題「自著の本の企画を考える」に吐きそうになりながら向き合っていた。

THE・ポンコツ。頭が真っ白になり、何も思い浮かばず。苦しすぎて、苦しすぎて。リビングのソファーから文字通り一歩も動けずに3日間いた。現実逃避してスプラトゥーンをするも、どんなに色を塗っても課題は1ミリも進んでいなくて、現実を直視してより吐きそうだった。

何者でもない自分が何を書いたらいいのだ、とテーマが見つからず、頭で「企画書を書かないと」がくるくる回っていた。とはいえ、課題はありがたいことに締切がある。出さないだけは避ける!と、なんとか自分の仕事である採用を切り口に企画書を提出して、最終日を迎えた。楽しみだった卒業式に、いろんな気持ちが巡り、いの一番に泣き出したのは私だったなあ。言葉が口から出てこないほどに泣いた。

そこから1年後の『本を出したい』。

本の企画についてゼミで学んだはずなのに、本を読んだらたくさんの知らない事実があった。まず。ページをめくって「はじめに」の次の行。見出しに目をギュッと見開いた。「もしかして私、本のタイトル間違って覚えてたかも」と思ってドキドキして表紙を見返したのは秘密(秘密になっていない)。書籍はマスメディアではないということにもびっくりした。

どのページにも具体的な事例があるから、本を出したこともなく、ライターでもない私でもイメージがどんどん膨らむ。講義で聞いた記憶を手繰り寄せながら、この1冊で本が出版されるまでのステップを体系的に理解できたと思う。これは講義という「液体」だったものが、本として「固体」になって、読者としてより整理された形で受け取とったということなのかなと思った。

そんな思考を巡らせながら読み進めること数時間。今回は「あとがき」を読むのをとにかく楽しみにしていた。「CORECOLOR」で毎日更新されるさとゆみさんのコラム「今日もコレカラ」であとがきについて語っていた回があったから。

本編を読み終わって、ソファーに座り直してそっとページをめくっていく。わずか数ページなのに心がうごめいて、読み終わったら泣いていた。本って素敵。人生をかけて1冊ができ上がり、この世に残って誰かの人生を変えていく存在。

1年前の課題の苦しさは本当に半端なかった。私は自分の過去と向き合って、自分の人生の棚卸しをしていくことがとにかく苦しかった。今のところ本を出せる企画は思いつかないままですが、本は素敵。著者のかたの人生があると思うだけでぐっとくる。今日から本をもっと楽しく読める気がします。

それに、書くから考えることができるってやっぱり面白い。ちょうど数日前に友人をインタビューさせてもらったときのことを読んでいる途中に思い出した。

友人と話していると、似ている二つの言葉が何度か出てきたのが気になったからそれぞれの定義を率直に聞いてみた。

「……」

しばらくの沈黙の後、話し出す友人。結果的に二つの定義は違うものだとわかった。本人にとって思わぬ発見だった様子。これも、書くために聞いてみたから未知の領域を考えることにつながったと思うの。ちょっとだけ発見のお手伝いができたので、嬉しい時間だった。


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