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先輩を立てながらサラッとイヤミを言う神田松之丞(六代目神田伯山)さんの話術。

先日、NHKのあさイチに、今月9人抜きで真打に昇進(同時に六代目神田伯山を襲名)する神田松之丞さんが出演していた時に、おもしろいことをおっしゃってたので思わずメモりました。

「僕より腕のある人はいっぱいいるんですけど、なんかこうね、講談師の人って粋な人が多くって、あんまり野暮にガツガツとスポークスマンみたいにアピールする人がそんなにいなかったんですよ。だから僕はそういう野暮な役を引き受けようという感じで、積極的にテレビに出させていただこうとか。」

いやいや、粋なのはあなたですって。

メディアに積極的に出てる自分は野暮であると。そもそもずば抜けた実力と人気があるからテレビラジオに呼ばれたのであって、野暮だからではない。他の講談師さんは積極的に出たくたってお声がかからないんですから。

もちろん、テレビなんか出たくないという方もいらっしゃるとは思いますが、講談をもっと盛り上げたいという気持ちは全員が持っているはず。だったら、テレビでアピールするのが一番の近道だということは現代人ならば当然心得ているだろうと。

そんな先輩たちについて、こう表現した。自分は呼び屋であるという立場を踏まえながら、実に噺家らしい粋な物言いで感服したと同時に、あんたたち、もうちょっとがんばってよという気持ちをかすかに感じさせるあたりが、やはりただ者ではないと思うのです。(彼の毒舌ラジオを聴いてるからこその先入観かもしれないけれど。)

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なーんて言いながら、目はもうこの名跡譲渡の証明書にくぎ付けになっていて、「寄席文字いいな。習いたい。」とぼんやり考えた仕事前のひと時なのでした。

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