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話を聴くときに注意したい思考の【長さ】と【深さ】


こんにちは。プロコーチのお松と申します。(コーチングを提供するコーチの方です)


「コーチング」とは、コミュニケーションスキルの1つ。どういったコミュニケーションスキルかというと、ざっくり言うと、「対話によって、相手の自発的な行動を促すコミュニケーションスキル」です。(この辺の定義は団体や人によって違うと思われます)


コーチングを超ざっくりと分解すると、「何を聴くか」「どう聴くか」に集約されるのですが、「どう聴くか」の部分で大切なことが言語化できたのでメモしておきたいと思います。

ポイントは、相手の思考の【長さ】と【深さ】を見極めること。これができようになると、コーチングにとどまらず、会社でのコミュニケーションや、パートナーとの会話など、人と接することが楽しくなります。なので良かったら見ていってもらえると嬉しいです。


沈黙、怖くないですか?


ポイントを解説する前に、コーチングにおける「沈黙」の大切さについて語らねばなりませぬ。


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こちらの図は、コーチングを簡素化したもの。コーチングにおいて、コーチは基本的に「質問」しか行いません(厳密にはその他にもフィードバックや要約などを行うのですが、ほぼ質問しかしません)

その質問によって、クライアント(コーチングを受ける人)の中から言葉を引き出し、気づきを促していきます。クライアントの気づきを促すためには、クライアントがいつも考えていることを質問しても意味がありません。

そのため、コーチはクライアントがこれまで考えてこなかった質問を投げかけます。そうなると、新しい答えを探すため、クライアントには考える時間が必要です。つまり、考える時間=”沈黙”が必要になります。

会話をしている時、沈黙って怖くないですか? 僕はコーチングを習得する前は怖かったです。すごく。沈黙になった瞬間にその隙間を埋めるように話題を提供したり質問したりしていました。ですが、沈黙には「相手が考えている時間」という面があります。何よりもまずこの認識が重要です。


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▲沈黙は2種類ある


そんな「よい沈黙」を守るために必要なものさし。それが、思考の【長さ】と【深さ】です。


質問に対する返答のスピード=「思考の長さ」


はじめましてのクライアントにコーチングを行う際、まっさきに確認するのが「思考の長さ」です。

「思考の長さ」は、質問の答えを出すまでのスピードで図ることができます。何かしらの質問を投げかけた際、答えを出すまでのスピードは人によって様々。まずはその速さを確認し、そのスピードにこちらの思考のスピードを合わせていきます。

なぜこの作業が必要なのか。それは、先ほどの「よい沈黙」を生み出すためです。とても雑な例えをしますね。例えば、質問に対して10秒考えてから答えを出すクライアントにコーチングを行うとします。

コーチが何かしらの質問を投げかける。そして、クライアントがその質問に対して「考えたことなかったですね…」とつぶやきながら、”沈黙”をします。その際、「答えを出すまでに10秒かかる」と知らないと、8秒あたりで「この質問はまずかったかな」と考え、「あ、し、し、質問の意図がわかりにくかったですね。ガ、ガ、ガハハSP」なんてことを言ってしまう可能性があります。

そう、10秒という相手の「思考の長さ」を知らないと、考えを深める貴重な沈黙をぶち壊してしまうのです。

これはコーチングだけでなく、普段の生活の中でもよく起きている現象。相手が考えているところにこちらの発言をかぶせてしまう。そうすると、相手の思考はそこでストップしてしまいます。

そうならないために、相手の思考の長さを観察し、そこにペースを合わせていく。「じゃあ具体的にどうやるんだ?」と疑問に思われる方もいるかと思うのですが、答えとしては「観察する」です。何かを質問し、答えが帰ってくるまでの時間、相手の表情や息遣いを観察しましょう。ポイントは、相手が答えるまで待つこと。

それを何度か繰り返すと、相手の思考の長さを知ることができます。最初は難しいかもしれませんが、慣れると比較的簡単にできるのでぜひ試してみてください。


質問に対してどこまで内省できるか=「思考の深さ」


次に「思考の深さ」について。「思考の深さ」は、質問に対してどれぐらい自分の考えを深めることができるか、を指します。これは驚くほどそのまんまですね…。

例えば、「これまでの人生で一番嬉しかったことはなんですか?」という質問に対し、

「大学受験に合格したことです」

で終わる方と、

「大学受験に合格したことです。これまで何かを継続して頑張れたことってないのですが、この時は嬉しかったですね。……………よく考えるとこの時の成功体験が今の自分の価値観につながっている気がします」

と答える方がいます。この場合、後者の方が「思考が深い」と言えます。

この思考の深さを知ることがなぜ大切かというと、これも”よい沈黙”を守るため。先ほどの例でいうと、

「大学受験に合格したことです。これまで何かを継続して頑張れたことってないのですが、この時は嬉しかったですね。……………(沈黙)よく考えるとこの時の成功体験が今の自分の価値観につながっている気がします」

ここに実は沈黙があります。相手の「思考の深さ」を知らないと、「この時は嬉しかったですね。」の後に話しかけてしまい、相手の沈黙を壊してしまいます。つまり、相手の思考を止めてしまうのです。

「思考の深さ」を知るためには、「思考の長さ」同様、質問に対して考えている相手の表情や息遣いを「観察」しましょう。ポイントは「答えを吐ききったな」と感じられるまで待つこと。けっして考えている間は質問をしない。これがよい沈黙をうむ鉄則です。

あ、これは念のためなんですが、思考が深いから優れている、とか、思考の長さが短いからいい、なんてことは全くないですからね。背が高いor背が低い、足が臭いor足が臭くないと同じように個人差があるだけですので。


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以上です! コーチングをやるときには、僕はまずはじめにクライアントの「思考の長さ」と「思考の深さ」を観察し、その長さと深さにペースを合わせていきます。これはわりとコーチング一番大切なのでは? と最近感じているので、言語化できて嬉しい気持ちあります。

冒頭にも書きましたが、コーチングだけでなく普段の会話全てに使えるものさしなので、頭の片隅に入れてもらって、どこかで活用してもらえると嬉しいです。ではまた。

▼僕のコーチングについてはこちらをご参照ください。


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