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ウチのクマ

我が家の新入り。

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先日のアートフェア東京で出会って、お迎えした子。造形作家 稲葉友宏さんの作品。
クマちゃん。(正式名称はAnd a blank no.25)


普段は大きな作品を作っている稲葉さんが、造形研究のようなストレッチとして行う小さい習作から、納得のいく仕上がりになったものを時折ナンバリングして世に出しているシリーズのうちの一体。クマを作るのは今回が初めだったそう。

想像の余地を残す「空白」を大事にした制作を行なっているという稲葉さん。
動物好きで見立て遊びが好きな私(妄想族ですっ!)は、つなぎ目のところにできる黒玉がつぶらな瞳に見えて…目が合った気がしてこの子に近づいた。

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クマらしいしっかりした首と胴体、そこに小さくツンとついた鼻先や耳、尻尾。
そして、内股な脚がクマのアンバランスな魅力を見事に捉えているように思えてひと目で好きになった。
加えて、四角の集合体なのに丸みを感じるなめらかな連なりで、撫でると愛おしさが増す。

クマ好きの家族のいる我が家で、仲良く暮らせる気がした。

この子は、実体だけでなく影も愛おしい。
夜、横からしっかりと光が当たると床に強そうなシルエットが浮かび上がる。

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昼間柔らかい光が当たるとぽわんとした影が揺れる。

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スターウォーズep5で登場するAT-ATっていう、ちょっとマヌケなやられ方をする帝国軍の戦闘車を思い出した。←好きなやつ



家に帰ってきて電気をつけた時、
廊下にふっと目をやった時、
この子がいる暮らしっていいなと思っていたけれど、
実際うちに来てからは眺めるだけじゃなく、よく話しかけている。またちょっと家族が増えたようで嬉しい。

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◆And a blank no.25
鉄, ウレタン塗料
(size/h240 w410 ×140mm)

「and a blank」シリーズは、稲葉さんが大きい作品や造形描写の細かい作品の制作の合間に行なっている造形研究のようなストレッチのような行為から生み出された作品たち。作品として納得のいく造形になったものを時折ピックアップして番号をつけて「and a blank」シリーズとして発表しているもの。

鉄線を使って短時間で形を造形することで、モチーフの細かい形に囚われない自由な線を模索。描写を省いた線だけの造形は、作家が製作時に意識している「空白」の要素が沢山取り入れられていて、見る人の想像が加わることで形が浮かび上がる。
一本の線に感覚を集中する時間は、実に楽しく、ここで発見された造形は大きな作品の制作に生かされているのだそう。

稲葉友宏 http://www.tomohiro-inaba.com/
https://www.galleryartcomposition.com/artists/tomohiro-inaba_jp.html
1984年栃木県に生まれ。2011年文星芸術大学博士課程後期課程修了、在学中には栃木県芸術際大賞受賞、フランクミュラー創造の天才、入賞などで頭角を現す。空間に一筆書きで星を描くように、鉄線を曲げ形を構築、形態が変化する過程を作品にすることで鑑賞者に時間性を帯びた感覚を想起させるような彫刻を制作している。2012年越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」参加、2014年ミラノサローネ出品、2015年からシンガポール、アメリカ、イギリス、フランス、台北、ソウルetc.でフェアや展示を行ってきた。2019年ポーランドの最大の産業都市、ウッチ市の中心広場に4mの作品が公共設置された。



そのうち、ポーランドの作品にも会いにいきたい!


※最後は、CreativeGINZAで習った、アートを買う時の視点形式で作品や作家の事を書いてみた!

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