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誰も使わない自習室。怪談・逢魔が時物語「歴史授業」

私たち六年生は、社会の歴史授業で調べ物をしていた。

ささいなことで友達と喧嘩をしてしまい、私はプイッと
コンピュータ室から出ていった。

仕方なくひとりで教室に戻り、調べ物を続けた。
すると、教室に戻ってきた友達が心配そうに言う。

「ねぇ、大丈夫だった?」

同じことを何度も訊く。
私は別の友達と喧嘩したことを言ってるのだと思っていた。

数日後、今度は友達二人に男子三人でグループ研究を
していた。

教室で机を寄せ合ってだったが、友達はずっと私に喋り
かけてくる。

「このままじゃ全然書けなくて、先生に怒られちゃうよ」

そう言って、私は四階のいちばん端にある四番目の
自習室に行った。

そこだけは、なぜか誰も使わない小部屋だった。
静かだし、邪魔されないので一人で勉強することに。


すると突然、横開きのドアがガラガラガラッと開いた。


友達が来たのかと、私はすぐに部屋の外を見渡した。
ところが誰もいない。
廊下にも隣の部屋にも、そして近くのトイレにも……。

「風かな……」

無理やりそう思って、そのまま荷物をまとめて教室に
戻った。
友達にさっそくさっきの起きた変なことを話す。

すると、友達はとんでもない言葉が吐いた。

「えっ、私もだよ。四階のその部屋の隣で着替えてたら、
誰もいないその部屋からドンドンドン、ドンッ! って
音を聞いたよ」

私は驚いた。
じつは、私もその異音を聞いたことがあるのだ。

友達とは違う日だったが、二人が音を聞いた時間だけは
同じ。

恐怖はそれだけではなかった。
次の日、隣のクラスの女の子が泣きそうになっている。

「荷物を取りにその部屋に行ったら、部屋の隅に白い
 何かがいた」と。

その子は「あれは絶対にお化けだ」と騒いでいる。
私はその部屋で勉強していたんだ、と思うとゾッとした。

卒業した後、こんな噂を聞いた。
卒業後、九月四日にある生徒が事故で死んだという。

四階のいちばん端、四番目のあの部屋の窓から落ちたのだ。
たまたま校庭から目撃した生徒の話では、
まるで誰かに突き落とされたように見えたという。



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         ・投稿 リーさん(女性・静岡県)

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