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町の上空にそれが・・・。怪談・逢魔が時物語「蓋」

Kさんが京都の大学を受験するため、京都の鷹ケ峯に
ある知り合いの家に、数日前から泊まりに来た。

着いたその日は冬晴れだが、風が強く底冷えがしていた。
「この風をね、『比叡おろし』という言うんですよ」
知人の家人から説明されて、ふ~んと納得した。

次の日の朝、日の出前に目が覚めてしまった。
外に出て、鷹ケ峯の小高い丘から京都の市街を眺めた。

比叡おろしがは上空の淀んだ空気を吹き飛ばしたのか、
清々しいきれいな景色が広がっている。

だんだん陽が昇り、町が明るくなってきたとき、
町の真ん中に変なモノがあった。それは雲の塊のように
見えた。

強風の比叡おろしが吹き飛ばしたはずなのに、
まだ残っている。
なんだあれは? と、よく目を凝らしてみた。


京都の町の極めて狭い範囲を
ドーム状に蓋をしている。


くすんで淀んだ灰色をしている。
河原町から川を挟んで知恩院にかけての一帯のみに
存在していた。

そのエリア以外は完全にクリアなのに、そこだけ
レンズ状というか、ドーム型の雲のようなものが、
カパッと町を蓋していたのだ。

家人が起きてきたので、私が見たものを説明した。
スモッグか川霧じゃないのと言うが、そんなものではない。

比叡おろしにも飛ばされず沈澱していた『何か』……。
鷹ケ峯の路上から見た、ミステリアスなモノだった。



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           ・投稿 健康法師さん(男性)

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