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家の中に誰かが。怪談・逢魔が時物語「おかしいねぇ」

実家に住んでいた時のこと。

ちょうど暑いお盆の夜だった。
深夜まで、私は自室で寝転びながら本を読んでいた。

妹と姉は友人の家に泊まりに出かけており、
父は旅行で不在。
廊下を挟んだ隣の和室には、母が眠っている。

日付が変わる頃になったので、寝ようかと思った。
すると、廊下からミシミシ……と誰かが歩いている
足音がする。

(お母さんが廊下を歩いてるんだ……)

何の疑いもなく、そのまま気にせずに私も寝た。

翌朝、起きるとすぐ母が訊いてきた。

「あんた、昨日の夜中に水でも飲みに行った?」
「ううん、行ってないよ。誰か帰って来たんじゃ
 ないの?」

そう返すと、誰も帰って来ていないと言う。

「おかしいねぇ。12時頃、廊下を歩く音が
 したんだけど……」

これにはちょっと驚いた。

「えっ! あれって、お母さんじゃないの?」

母ははっきりと否定した。
それだけではない。


母は障子に影が動くのを見た、とも言った。


一瞬、ゾッとしたが、お盆の日だったことを思い出した。
それに、その時は全然怖い感じもしなかった。

思えば祖母の初盆だった。
きっと帰ってきたのだろう。



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            ・投稿 K・Mさん(女性)

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