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不吉なくじが示すもの。怪談・逢魔が時物語「二人のおみくじ」

ある年の正月、母と祖母は茨城県のTにある寺へ
初詣に出かけた。

おみくじを引いたところ、なんと二人とも大凶。
二人は正月早々たいそう落ち込んでしまった。

最悪の正月も過ぎ、月日が経っておみくじのこと
など忘れていた頃。
祖父が病気で倒れ、自宅療養になった。

連日、枕元に座って看病することに。

ある日、母が祖父の寝ている部屋に行くと驚いた。
布団の足元に、真っ黒な服を着た見知らぬ人が
立っている。


(死神だ!)母は直感した。


だが、母に何かできるはずもない。
唖然と畏怖の眼差しを向けて見詰めることしか
できなかった。

その人は母に一瞥もくれず、何もせずすっと消えた。
それから数日後、祖父は静かに息を引き取った。

母は、今でもあれは死神だったと言う。
そして、おみくじを二度と引くことはなくなった。

         投稿 ゆきさん(女性・宮城県)



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