突然、風が止まった。怪談・逢魔が時物語「壁」
会社の同僚たちと、横浜にある某有名公園に行った
ときのこと。
公園に着いたのは夜九時過ぎだった。
遊歩道を歩いていると、なぜか私だけ不思議な感じ
を受けたのだ。
横浜の海の近くなので、爽やかな海風がそよ吹い
ていた。
だが、遊歩道上のある地点で、突然風が無くなった。
いや、無くなったというより、遮断されたという
べきか。
その代わり、何か動物の腐敗臭のようなものが
漂っている。
私は道をうろうろしながら臭いを嗅いでいた。
それはどうも一定の幅で、道を横断している
ようなのだ。
そこに厚みが一メートルもの『臭いの壁』があった。
私は臭いの壁を突破しようと、同僚たちと足を
踏み入れた。
そこは爽やかな風が抹殺され、息苦しい闇の
世界が待って いた。
水銀灯がいくつもあるので、目にする暗さはない。
だが、空気が重い黒い霧のようで、とても息苦しい
感じがした。
堪らなくなって、私だけ臭いの壁の向こうに走って
逃げた。
しかし、同僚たちは何も感じなく、臭いもわからな
いという。
※怪談・逢魔が時物語select
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・投稿 H・Kさん(男性・栃木県)
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