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良からぬモノが巣食っている。怪談★逢魔が時物語#6「あやかし団地」

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           ━━ 2023 ━━
        ★ 怪談 逢魔が時物語 ★

            3.10号 #6

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       ★ 逢魔が時物語へ、ようこそ ★

 ここは、あの世とこの世の間にあるユラユラとした境界です。
 今宵も、ゾッとする怖い話、不思議な話をお届けしましょう。

 さて、今号は『あやかし団地』の話です。

               逢魔プロジェクト主宰・雲谷斎

ーー 目 次 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ■oma-kwaidan『あやかし団地』
     ・逢魔怪談「フェンスの外」
     ・逢魔怪談「上階の騒音」

 ■Information
     イベント 出版物 逢魔が時チャンネル 売店
 ■oma-column
     ・逢魔のホームページは

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 cafe逢魔「蟹鍋満腹放送」#14 アーカイブ
 https://www.youtube.com/watch?v=X7EUN4M3NbQ
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            逢魔怪談
    ~~~~~ 「フェンスの外」 ~~~~~

 東京にある古いT団地は、不名誉なことで有名だった。
 それは高層棟の屋上からの投身自殺である。

 当時、先輩たちはその団地を物見遊山に見に行った。

 赤羽に住んでいた先輩がいたので、道なりに歩いて行ける。
 深夜まで飲んでいて、酔いざましに何人かで出かけた。

 夜の風が心地よく、次第に酔いも醒めていく。
 ただ、それは夜風のせいなのか、気おくれなのかはわからない。

 深夜の団地は、巨大な墓石が林立しているかのようだった。
 まるで「進撃の巨人」の壁のように、六棟が連なっている。

 真っ暗の壁の所々から窓の灯りが漏れていた。
 こんな遅い時間でも起きている人がいるのだ。

 路肩には無人の車が何台も駐車している。
 街灯にぼんやりと照らし出されているだけで、人の姿は無い。
 ごくごく当たり前の、代り映えしない光景だった。

 高層団地を下から見上げると、確かに高い。
 こんなところから身投げするとは、と思うとゾッとする。

 そろそろ帰ろうかと思ったとき、ある先輩が怪訝な顔で
 じっと団地の屋上辺りを見ている。

 煙草をくゆらせながら、首を傾げている。
 そして、仲間にひと言。

 「なぁ、屋上はフェンスを高くしてあるはずだよな?」

 危険防止のために、それは当たり前のことである。
 そんなことを確かめるように訊いてきたのだ。

 「当たり前じゃん。なんで?」
 「いや……いいんだ。じゃ帰るか」

 団地から離れた商店街まで来ると、先輩はやっと口を開いた。
 俺、見たんだよ、と。

 それは見上げていたフェンスの外側。
 幅の狭いコンクリートの低い擁護壁の上だという。

 人影がその上を行ったり来たりしていた、というのだ。

 そこに立つには、高いフェンスを乗り越えなければならない。
 しかも、擁壁から一歩踏み外すと落下してしまう。

 先輩はとんでもないモノを見てしまったことに気づいた。
 それが今まさに自殺しようとしている人間なのか、
 この世に未練を残す自殺者の霊なのかは不明だという。

 ただ、あのときの先輩の顔は違っていた。
 事故や事件をまともに見てしまったという表情だった。

               ・投稿:うなぎ犬さん(男性)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》
 狭いとこウロウロしてたやつ、木下サーカスの綱渡りやろか?
 夜中にそんなとこで練習するなよ。てな訳ないか。

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            逢魔怪談
     ~~~~~ 「上階の騒音」 ~~~~~

 実家は大阪市T区の市営団地である。

 私が中学を卒業してから、新築だったそこへ引っ越した。
 3DKで、私の部屋は玄関の真横の独立した部屋だった。

 ヘンなことが起きた。
 部屋にいると、夜の十二時前に『足音』がするようになった。
 これは真上の部屋で、誰かが走り回る、ドタドタという音。

 狭い部屋を走り回っているので、子供かと思っていた。
 我慢していたのだが、ある夜の『音』は限度を超えた。

 ちょっと注意しようと、上の階のその部屋に向かった。
 私の部屋の真上に当たるその部屋の明かりは消えている。

 インターホンを押す。
 家の中から間違いなくその『音』が聞こえている。

 「はい、どなたですか?」
 「夜分大変すいません。下の部屋の者ですが……」

 ドアを開けてくれたのは、見かけたことのある初老の男。
 何週間もこの時間になると、ドタドタと走る回る足音が
 下の私の部屋の天井に響くと訴えた。

 「うちからですか?」
 男は怪訝そうに訊く。

 私はドア横の部屋を指さして、同じ間取りの自分の部屋の
 真上だからと指摘した。

 「おかしいなぁ……住んでるのは私一人だし、
  この部屋には荷物しか置いてないんですけどねぇ。
  ちょっと入って見てみますか?』

 意外なことを言うので、見せてもらうことにした。
 住人は玄関のすぐ横にある引き戸を開けてくれた。

 中には箪笥や衣装ケースが置いてあるだけ。
 ダイニングへも通されて、ぐるっと見渡しても荷物はわずか。
 小さな子供用の物は何もない。

 私たちはダイニングに立ったまま、どんな音かを話していた。
 すると、真上からドスドスといつもの音がしはじめた。

 「あっ! これですよ、これ!」
 「はぁ……これ、ですか……?」

 指摘しても、心当たりがあるのかないのかはっきりしない。
 むしろ、ちゃんと聞こえているのかも不明だった。

 「音、してますよねぇ?」
 「ん~~」

 住人は訝しげな表情をするだけだった。
 この音が聞こえないというのは、耳が悪いのかと思った。

 「ということは、この上の階の音が二階下のうちまで
  響いているということかも知れませんねぇ」

 私は弁解するように言いつつ、申し訳ないと詫びた。
 もう一つ上の階の人に言いに行こうと玄関へ向かったとき。

 「ここが最上階ですよ」と後ろから声をかけられた。

 不思議なことに、その日から物音はしなくなった。
 その後、私は何年か実家を離れ『音』からは解放されていた。

 そして、最近また実家へ戻って来た。
 私が不在の間、上階の一人暮らしの男は亡くなったらしい。

 しばらく空き部屋になっていたが、誰かが引っ越して来た。
 階下のうちにもちゃんと挨拶に来た。

 すると、しばらくして。
 また、上からあの『音』がするようになった。

            ・投稿 T・Hさん(男性・大阪府)

 《雲谷斎のイッチョ噛み》
 他の人には聞こえん音っちゅうことですよねぇ。
 音出しユ~レイが、存在を知ってくれて喜んでるんですわ。

 もっと怖い、もっと不思議な話、ありますよ。
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【読者便りー2.28号】

 cafe逢魔「蟹鍋満腹放送」、おもろかったです!
 なかなか聞けない修験道のお話。
 こだわり満載の法螺貝選びや滝行の意味や所作など、
 逢魔的ディスカバー・ジャパンといった回でしたね。
 怪談色は薄めだったけど。。。。

 「男の子」
 おかえり、ぼん。

 「同じ民宿」
 怪談によくある足音や叩く音の怪。
 メトロノームや曲かけると、リズム変わったりするんやろか?

               <maoさん 女性・東京都>

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