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空から何か落ちてくる。怪談・逢魔が時物語「天空の異物」

ある日の朝、札幌にある職場に出勤しようとしていた。

いつものように、屋外にある駐車場に車を停める。
急ぎの仕事があったので、駆け足で職場の建物へと
向かった。

駐車場から建物までは少し距離がある。
広大な駐車場を横切らなければならなかった。

職場に向かって走ってる途中、不思議な感覚に襲われた。
なぜか上空が気になる。

足を止めて真っ青な空を見上げる。
太陽の眩しさに目を細めながら、額に手をかざして
見上げた。

すると、遥かな高みから何かが落下して来ることに
気づいた。

もの凄いスピードで、音もなく真っ直ぐに落ちてくる。
自分でもよくそれに気づいたものだと思う。

(えっ、なんだ?!)

このままでは頭か体に直撃しそうだった。

慌てて後ろに倒れこむように身をそらした、その瞬間!
パーン!
僕の数メートル前の路面に何かが弾けた。

(うわっ、危なかった~!)

危機一髪を切り抜け、弾け飛んだ残骸をよくよく
見てみた。
驚いた、というか訳がわからなかった。


それは、バラバラになった白身と黄身と殻。


そう、しっかりと火の通った『ゆで玉子』である。
これには唖然とした。
頭の中で?マークが炸裂した。

周囲にはそういったものが落ちてくる高い建物はない。
誰かが放り投げたとしても、どこにも人はいない。

唯一、合理的に推理できるのは、カラスの仕業だ。
どこかの家庭からゆで卵を失敬してきて、
空から落とした。

しかし、見上げていた空にはカラスの姿など
なかったし……。
さっぱり訳がわからなかった。

雲谷斎さんの「たまご」という話の続編だろうか?



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       ・投稿 ヒロの兄さん(男性・北海道)

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