雨にもゾンビ
雨にもゾンビ
風にもゾンビ
雪にも夏の暑さにもゾンビ
腐ったからだをもち
慾はなく
決して眠らず
いつも静かに呻（うめ）いている
一日に人肉40㎏と
脳味噌と少しの臓物を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きしても分からず
すべて忘れて
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいたりして
東に病気の子供あれば
行って仲間にしてやり
西に疲れた母あれば
行ってその脳髄を喰らい
南に死にそうな人あれば
そのままにしておき
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろともいわず、いえず
日照りの時も涙を流さず
年がら年中おろおろ歩き
みんなに歩く死体と呼ばれ
褒められもせず
苦にされてばっかり
そういうゾンビに
わたしはなりたい
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