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大人のマシュマロテスト

スタンフォード大学で行われた「マシュマロテスト」という有名な実験がある。

学内の付属幼稚園の4歳の子ども186人が実験に参加した。被験者である子どもは、気が散るようなものが何もない机と椅子だけの部屋に通され、椅子に座るよう言われる。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。(略)…最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、1/3ほどであった

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%AD%E5%AE%9F%E9%A8%93

小さな子供の目の前に、マシュマロを置いて「マシュマロをすぐ1個もらう?それとも我慢して、あとで2個もらう?」と聞く。そして「もし我慢して食べなかったら、2個あげるよ!」といって、子供をおいてそのまま部屋を出る。

その子がグッと我慢できるか?自制心を試すのである。このテストで「我慢できた子」「我慢できなかった子」の生涯を追跡調査すると、年収や学歴、社会的地位などに有意な相関性が見られた。
(⇒ただし後年、再現実験が行われ、その方法論や根拠に、根本的な疑義が提示されている)

中野信子さんの著書「あなたの脳のしつけ方」に、似たような議論があった。
脳には論理的にゆっくりと考えて結論を出す「Cシステム」と、直観的に物事を判断してく「Xシステム」があるのだという。Cシステムは端的に決断を先延ばしにする能力である。重要な決断をあえて下さずじっと我慢する…場合などがそうだ。
Xシステムは即決断するときに働く。一目ぼれとか衝動買いとか。上記のマシュマロテストで我慢できる子は、Cシステムが優れていると言い換えることができるだろう。

私がふと思ったのは、(子供へのマシュマロテストの妥当性はさておき)大人版のマシュマロテストってどんなものだろうか?ってことだ。そういうテストはないだろうか?
例えば高学歴だから→即Cシステムが優秀、てのも微妙な気がしているから。高学歴ニートだって今は少なくないわけで。

どんな業界にもいえるが、成功者と一般人との間には、越えられない壁がある。だが一般人だって才能はあるはずだ。普段、やっていることをつぶさに観察すれば、成功者と一般人との間に大した差はない。それではなにが両者の命運を分けているのか?

「継続力」に決定的な違いがある。いざという時に、踏ん張って頑張りを継続できた人と、へばってダメになっていった人の差。この継続力のコアとなるものは、「未来の予測」ということになるだろう。
言い換えると、未来をイメージしつつ、”いま、ここ”に集中して、粘り強くプロジェクトを遂行していく能力。人間と動物を別つ能力である。脳の部位で該当するのは、おでこのすぐ真下にある前頭前野。とくに前頭極。

なお、この前頭極は「ハノイの塔」というゲームをやると活発に働くといわれる。国立精神神経センターの実験だが、「ハノイの塔」課題を60人の学生にやらせたところ、過半数はあきらめてしまったそうだ。
難しい課題に直面したときに、課題を解くまであきらめない人と、あきらめてしまう人とがいる。

ネットサーフィンをしていたら、たまに難しいパズルやクイズを見かけることがあると思うが、その時に、いつも自力で解くまで頑張るか、それとも、踏ん張れずに、回答をみてしまうか。
この質問の当否で、(現時点の)前頭極の活性度合いが分かると思う。あなたはどっちの方?

じゃあ前頭極がいまいちな人は一生パンピーなのかというと、そんなことはない。
数学や英会話のような、長期間の学習が必要な勉強に勤勉に取り組むことで、前頭極の皮質は増えるといわれている。
前頭極は後天的に改善可能なのである。成功は習慣と心がけで「つくる」ことができると私は考えている。


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