天才と諸刃の剣(3)

「おまえさぁ、ちゃんと段取りを考えてから動けよな」とはエンジニア1年生(22歳のとき)に先輩にだいぶキツめに注意された言葉である。私の身体性は”思い立ったが吉日”といわんばかりに考えるまえにパっと動く。

たとえだれにどうみられようとなんといわれようともいまだに変わってないのでたぶん一生なおらないと思われる性質だけど、意外や意外、その語感に似合わず”トラブルメイカー”呼ばわりされたことはなく、どちらかといえばムードメイカーとして職場の人気者になって重宝されているケースのほうが多なので殊更治す必要性を感じていない。

むしろ世のエンジニアどものあいだに蔓延している「THINK」(IBMの標語)

文化の弊こそ憂うべきではないかと思わされること少なからずであった。IBMどもが言わんとしている意味は分かる。なにしろできるエンジニアってのは化け物みたいによくできるからね。対して平凡なエンジニアは一生懸命、周囲に自分の努力のプロセスをアピールし、自分の努力を認め欲しいと力説するけどまあ無駄なあがきである。できる人たちから一笑(目の奥は笑っていない)に付されるだけである。

つまりは「THINK(考えろよダボが)」である。だけど「THINK」って他人に優しく諭して良いのは上位1%のエンジニアなのであって殆ど大半は他人に要求する割には自分ではまったく実践していないように思うのだけれどそのへんいかがなものだろうか?といつも私は激しく憤っていた。

結局エンジニア稼業では「主任」どまりだったけどそれでもバーター枠のおっさん数名を養うレベルの人材ではあったのである。そんなおっさんどもにマウンティングされ続けるという地獄の日々だったのだけど。

あとエンジニア界隈、子供の頃から勉強得意だった系の人が多い。だけどそのかわりスポーツはあんまり得意じゃなさそう。”扁平足っぽさ”っつーか、みるからに身体重そう。よくみかけたのは「とっちゃん坊や」みたいな中年男性である。PCのアイドル状態のとき地下アイドルが汗だくで踊っている動画を設定してる(ダジャレじゃないよ)っていう猛者もいた。それも既婚者で。

いろいろ絶対的に間違っているのだけど「エンジニア」だと名乗れば許されるところがあった。なんなんだろう…このキモくてもエンジニアだったら大目に見られるのって。もしかしてジョブスとウォズニアックが起源なのだろうか?普通ならサラリーマンになるのは不能な属性の筈なんだけど変人でもエンジニアという名札をつければなんとなく落ち着くのかも知らん。ようするに「イメージ」ということで。

話が本筋からそれたきらいがある。繰り返すが「動く前に考えて」それで結果を出せるのは天才だけである。残り大半の人はすべからく「考えるまえに動け」でいくべきである。こっちに全振りして努力するべきである。そしたらあとはオートマチックにわりとうまくまわる。フロー(by茂木健一郎)である。私のようなぜんぜんエンジニア適正のなかった凡人でもそうなのだから間違いない(古い)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?