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ヤングケアラーとお笑い

島田珠代の記事(Yahoo!ニュース)を読んで、いろいろ想うことがあった。

吉本新喜劇座員のお笑いタレント・島田珠代が、26日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」(月~金曜・午後1時)に出演。夫を亡くしたことや、3歳で娘と離ればなれになった過去を振り返った。島田は名古屋の連続ドラマに出演した際、出会ったスタッフの男性と2度目の結婚。女児が誕生したが、夫がステージ4の直腸がんで「余命が大体5年くらい」と診断された。その後は大阪で暮らすようになったが、島田の母と夫がぶつかるなどもめ事が多くなり、夫が名古屋に戻ることに。その時に夫が「娘は連れて行く。余命5年で、オレの生きる糧はどこにあるの? 娘がいないと無理」と3歳の娘を一緒に連れて行ってしまったという。 親子離ればなれの生活が始まり、「たまに会いに行くと娘も離れたくないと…つらかったです。泣きじゃくって、名古屋駅のみんな大勢の人がバッて振り向くくらい大声で泣いて。『ママがいい』って。甘えたい盛りだったから。そのときのことは思い出すと止まらないです、涙が」と号泣した。その後は夫の両親が相次いで死去。夫と娘だけの生活になり、島田の母が名古屋に駆けつけて世話をしていたという。そして夫は告知から11年後、娘が小学6年生のときに亡くなった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9ba3a34487284d7deb8a8e6c4b7e407fc7cccd9a

なによりもまず、島田珠代の母が偉い。お母上は、いちど長続きしなかった相手が末期の病だというので、別宅に介護に行ったのである。もちろん孫娘のことを考えてのことだろうが、それにしても並大抵のことではない。がんと診断されてから11年後、旦那さんが亡くなり、娘さんと島田は同居を再開したが、娘は反抗期に入ったばかりで、理想的なタイミングとはほど遠く、烈しく衝突した。
現在は和解して、円満に過ごしているそうで何よりだが、しかし、娘さんにとってはずっと人生ハードモードだっただろうな、と思わずにいられない。
娘さんは「ヤングケアラー」であると、別の記事にて言及されていた。

成蹊大学文学部教授の澁谷智子は、ヤングケアラーを 「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面、家計支援のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」と定義している

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B1%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%BC

ヤングケアラーの具体的な話は割愛するが、まあ、これは一筋縄ではいかない問題なのだ。単純に 「偉かったんだね、あなたは 」と、きれいごとで片づけることはできない。
ケアとはある種の暗黙の命令である。この役割を担う人は、自分の気持ちとは関係なく、心の奥底に精神的ストレス、ダメージを蓄積している場合が少なくない。介護や看護などのケアのプロでさえ、その役割の要求によって精神的な問題を経験することがあるわけで、年端も行かぬ子供がその責任を負うのは、想像以上に過酷な状況だろうと思う。
個人的に、ヤングケアラーが大人になった後どうなるのか、はかねてより気になっていたので(所謂、ヤンケアのネオテニー化問題)、このトピックについて、あらためて考えを書き留めておこうと思った次第。

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