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7「スカラムッツァの足跡をたどって」第3章「バランス」その2

こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。

アルゲリッチが幼少期にアルゼンチンで習っていた、名ピアノ教師 スカラムッツァの教えを、孫弟子にあたるマリー=クリスティーヌ・カルヴェ氏が書いた著作「スカラムッツァの足跡をたどって」を、ご本人の許可を得て岡田真季が日本語訳でお届けしています。

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では、第3章の2回目、参りましょう!


バランス、どうやって?

バランスを習得するためには、始めの2章で取り上げたことを組み合わせるだけで良いんだ。

1.腕を完全に脱力する
2.手に鎧をつけ、それぞれの指が音をつかむ感覚を身につける


そして3つ目のとても大事な要素が、この章を完結させるんだ。

「バランスポイント(支点)の存在」だよ。

ピアノにおける支点とは、筋肉が緊張している最後の関節にある。つまり、2つの相反する力が出会う場所だ。腕の脱力と、それに対して手がポジションを取ろうと反応する、2つの力が。


アクティブ(能動)の状態にある最後の関節とは、手の頂点にある関節、すなわち指のアーチの終着点だ。なぜならそれ以外は脱力していなければいけないからね。


手の頂点、もしくは支点を「中手骨」と呼ぶんだ。


みんな、このポイント(中手骨)が大事なんだと、心に留めておいてほしい。少なくとも、ピアノを習い始めて最初の数ヶ月はね。なぜって、我々が歩くために「立つ」のが必要なのと同じくらい、ピアノを弾くためには必要なポイントなんだから!


もう一度、1本の指で、落下をやってみよう。そして中手骨を押さえて意識を向けてみよう。手は安定しているか、腕は脱力しているか、支点は身体的な努力をすることなく、鍵盤としっかりコンタクトが取れているか?集中するための努力はウェルカムだけどね!


バランス、知ってるよ!

第3章の結論として、良いテクニックを身につけるためには、柔軟性、力や動きの節約、エネルギーのコントロールが、どれほど必要不可欠なのかをみんなにしっかり意識してもらいたいんだ。


楽に簡単に弾くためには「筋肉の緊張や困難なことを自ら拒否し、初めての曲に喜んで取りかからなければ」…ショパンが言っていたようにね。


みんなが、心地の良い平静な練習に心を配れるようになること。それでこそ、ダメージを受けずに音楽の方へ進んでくれることを願えるのだし、すぐに水の中の魚のように進歩していくだろうよ。

みんな「バランス」について分かったね。
これは何度も思い出さなければならないことだよ。


バランス、よくある間違い

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・はじめのように落下をやってみよう。でも今回は、鍵盤を押したらそのまま少し止まって、手に鎧をつける時間をとってみよう。


・もう一度やってみるよ、そして鎧をつけるスピードをちょっとずつ速くしていくんだ。装備完了まで2時間以上も待たなきゃならない、なんてことにならないようにね!気をつけて!鎧をつける時に腕が固くなってしまったら、失敗だぞ!


・手に鎧をつけて落とす時、音はとても美しくなくてはならないよ。もし耳障りな音だとしたら、それは手首が固いということだ。


しっかり耳で聴いて練習するんだよ。


・どの音でもいいから弾いて止まってみて、もう一度、手首を確かめてごらん。手を頑丈にするからといって、手首を固くするのではないよ。手首は自由に解放してやるんだ!


・落とす時、すべてを気をつけることに慣れるためには、まず一度にひとつのことだけを気をつけてごらん。例えば、まずは腕を楽に解放することに気をつけて、それから手を頑丈にすること、そして手首のリラックス…という風に。


・小指で落下をやってみてごらん。小指の鎧をつけて着地しなくちゃいけないよ。つまり、真っ直ぐだ。


・人差し指で弾いてみよう。音を鳴らしたまま、手首を上げたり下げたりしてごらん。手首を柔らかくするためだ。


・同じことをやってみよう。人差し指で弾いて音を押さえたまま、ひじを開いて、そして一瞬で脱力させるんだ。何度かやってみて、指が鍵盤にしっかり乗って掴んでいることと、腕の脱力を分けて考えられるようにしよう。

たくさんの罠を避けて、第3ステップを終えられたね!ここまで連れてきてくれた、我らがピアニストウラディミール・ジグワングワンに感謝の意を述べよう。そしてきみにも、ブラヴォー!

次章へ続く

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本内容は、Marie - Christine Calvet氏の著作「Sur les traces de Scaramuzza」を、本人の許可を得て岡田真季が日本語に訳してお届けしています。無断で内容を改ざん・コピーするなどの行為はご遠慮ください。挿入イラストは「いらすとや」から拝借しました。


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