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3「スカラムッツァの足跡をたどって」第2章「鎧をつけた手」その1

こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。

第2章を始める前に、第1章「落下」のまとめを簡単にしておきましょう。


落下、それって何?腕の重みをそのまますべて鍵盤に落とすこと。

なぜ?自由でリラックスした動きを学ぶため。

どうやって?腕を持ち上げて、そして放す。

できた!リラックスして美しい音が出せるようになる。


第2章 鎧をつけた手

鎧をつけた手、それって何?


「鎧をつけた手」が何に似ているかって?想像してみてごらん、教会や、教会の回廊、お城などの建築物にある、ドーム型の丸天井の要石(かなめいし)だ。他にも似たイメージはたくさん見つけられるはずだよ。


「鎧をつけた手」は想像上のミカンを手の中に握っているのにも似ているね。


見た目にきれいな形でなければいけないよ。どの指も弓なりに曲がっていること。ただし!最後の5の指(小指)は i の形にまっすぐでいることだ。


小指はとても大事なんだ。小指をまっすぐにすることで、手全体が外側に倒れてしまうのを防げるからね。椅子の足のように、椅子をまっすぐ支えるための役目をするんだ。


親指は人差し指と o の形を作るよ。そして爪の側面のあたりで鍵盤に触れるんだ。


良い形で鍵盤に手を置くことを学ぼうね。形が崩れたり、いろんな方向によじれたりしないように… しっかり整えよう!


鎧をつけた手、なぜ?

手に鎧をつけるのには、理由が3つあるんだ。


1.頑丈でない手では真のエネルギーを伝えられない


2.手が鍵盤に倒れこんでしまうと、アーティキュレーション(スラー・スタッカート・レガートなどで音の形を整えること)ができなくなる。特に手首を使ったアーティキュレーションを阻害してしまう。


3.鎧をつけた手は、腕からのエネルギーを受け・与えるための、橋渡しの役割をする。




鎧をつけることで、手の形がヘニャヘニャに柔らかく崩れることがなくなるし、活発に動けるようになるよ。


受ける・与える(受動・能動)、は対になっているなんだ。



例えば、身体の脱力は、歩くための骨格と対になっているだろう。まったく自然なことだ。


同じように、腕の脱力は、整えられた手の骨格と対になっているんだ。筋肉の強ばりを解き放つためにね。


ルールとして覚えてほしいこと、それは、重みに対応しなければ、そのまま重みに連れ去られてしまうだけ、ということだ。




想像してごらん。片手鍋を持って、蛇口から水を少しずつ入れていくところを。お鍋に水がたくさん溜まれば溜まるほど、お鍋を持つ手が強張ってくるだろう?もしお鍋を支える手の筋肉が対応しなければ、お鍋はシンクの中に落ちてしまうよね!


ピアニストにも同じことが言えるんだ。腕の重みを放すだけで、なんの反応もしなければ、手はクレープのように鍵盤に張りついて…もうそれ以上なにもできないよね。とにかく、それでは速い音符なんか自由に弾けるわけがないよ。



結論:ピアニストよ、手に鎧をつけよう!

本内容は、Marie - Christine Calvet氏の著作「Sur les traces de Scaramuzza」を、本人の許可を得て岡田真季が日本語に訳してお届けしています。無断で内容を改ざん・コピーするなどの行為はご遠慮ください。挿入イラストは「いらすとや」から拝借しました。



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