8「スカラムッツァの足跡をたどって」第4章「5つの動き」その1
こんにちは。音楽で人と世界をつなぐ!ピアニストの岡田真季です。
アルゲリッチが幼少期にアルゼンチンで習っていた、名ピアノ教師 スカラムッツァの教えを、孫弟子にあたるマリー=クリスティーヌ・カルヴェ氏が書いた著作「スカラムッツァの足跡をたどって」を、ご本人の許可を得て岡田真季が日本語訳でお届けしています。
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過去の記事はマガジンにまとめてありますので、ぜひ順番に読んでみてくださいね!(本の中でも、順番がとても大事!と書かれています😊)
第4章を始める前の、前章のまとめ。
バランス
それは何? 余計な緊張がないこと。
なぜ? エネルギーを節約するため。
どうやって? 腕を脱力させ、手に鎧をつける。
できた! こわばらないでピアノの前に座れる!
では、第4章の1回目、参りましょう!
第4章 5つの動き
5つの動き、それは何?
それは、ピアニストが使う特殊な動きだよ。「え〜〜、聞くからに、すごくたくさんあって、分類するのも大変そう…」だって?そんなことは全くないんだ!
例え組み合わせの数が増えたとしても、基本の動きは5つだけで、簡単にできるんだよ。
指から肩までの集合を「ピアニストの身体器官」だとすれば、それは4つの間接で繋がった4つの部分に分けられるんだ。つまり、手の関節(中手骨・第3関節)、手首の関節、ひじの関節、そして肩の関節だ。
それぞれの関節は、独自の動きをするんだ。
解剖学の点から見ても、人間が指から肩まででできる動きは5つしかない。次の部分から動くんだよ。
1.中手骨からは指が動く。ピアニストにとっては「指の動き」
2.手首から動かすと、手が動く。「手首の動き」
3.ひじから動かすと、前腕が動く。「前腕の動き」
4.肩から動かすと、腕全体が動く。「腕の動き」
最後に5つ目の動きもあるんだよ。例えばドアを開けようとする時、もしくは鍵を回して開ける時、腕を内側から外側へ向かって回すだろう?逆方向もあるね。それが「回転の動き」さ。
5.腕や上腕を回す動き。ピアニストの「回転の動き」だ。
5つの動き、なぜ?
それぞれの動きをひとつずつ理解すれば簡単なことさ。そうすれば、よりたやすく全ての動きを身につけることができるよ。
それに、身体の各部分を別々に使えるようになることは、筋肉のコントロールを覚えることにも繋がるんだ。それぞれの動きを混同したり、または対立させてしまって、筋肉を余計に緊張させてしまうことを避けられるようになる。
この動きの学びは「ピアニストの身体器官」のそれぞれ異なった部分の筋肉を、分けて考えられるようにするためであって、「左手より右手の方がよく動く」と言ったような手の独立についての学びではないからね!
真のテクニックの学びというものは、作品を演奏するために使われるべき、身体の動きへの理解から始まるんだ。
動きの組み合わせは、まずそれぞれの動きを別々に、集中して練習してから、その後だ!
5つの動き、どうやって?
ピアノなしで、メトロやバスに乗っている時、または道を歩いている時でも、できそうな動きからひとつずつ別々に考えて慣れていこう。
例えば、腕がブラーンと垂れ下がっている時に、指だけ動かす。ゆっくりから、どんどん速く、できるだけ速く。まず右手だけ、左手だけ、そして両手一緒に。
気をつけて!指以外の他はなにも動いちゃいけないよ。腕も、手首も、足の指も動かさない!
そうやって他の動きも練習してみるわけだが、常にひとつずつ、だよ。
それができたら次は、2つの動きを組み合わせる。例えば、指と手首、もしくは腕と前腕、指と前腕、腕と手首などなど、すべての組み合わせができるよ。これも、まず右手、左手、そして両手一緒に。
ここまでできたら、次はピアノの前に座ろう。片手ずつ、5つの動きを練習していくけど、それは次のページで教えるからね。
本内容は、Marie - Christine Calvet氏の著作「Sur les traces de Scaramuzza」を、本人の許可を得て岡田真季が日本語に訳してお届けしています。無断で内容を改ざん・コピーするなどの行為はご遠慮ください。挿入イラストは「いらすとや」から拝借しました。
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