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#122 甘酸っぱい恋

学生の頃の恋愛は、大人になって振り返れば、とても初々しいものだったと感じるものです。当時のような気持ちは、大人になるにつれて薄れていくものですが、
純粋に人を好きになるという素直な気持ちを忘れないようにしたいものです。
今回は、青春時代の甘酸っぱい恋の話をします。

同じクラスの〇〇さんに告白するまでの話です。
昔の告白と言えば、①電話、②手紙、③直接伝えるの3択になりますが、当然①を選択しました。
しかし、現代の通信手段と違い、電話でもそれは容易ではありませんでした。
なぜなら我が家の電話機の設置場所は茶の間であったからです。にぎやかな家族団欒の場も、女性から電話が掛かってくるものなら、決まって我が家は静まりかえるからです。それが嫌で、告白となると私にとっては、かなりのハードルでした。

当然ながら「ちょっとコンビニ行ってくる」と外に出ます。母親に「なんで?」と聞かれると、嘘をつけない私は「あーーうん。ちょっと告白してくる」と思わず言ってしまう始末です。
親も親で「あっそう!」って、本当に困ったものです。

電話ボックスへ

テレホンカードを握りしめて「いざ出陣」と行きますが、そんな時に限って近くの電話ボックスは使用中なのです。
他にも私と同じ境遇の人が居るのか定かではありませんが、こんな時は2件、3件と探してもどこも使用中なのです。やっと見つけたと思ったらテレホンカートが使えないのです。多少の小銭を用意はしていますが、「これは待てなのか!まだ早まるな!」なのかと、内なる自分が、「今日はやめておこうよ」と囁くのです。
「もうここまで来たら電話をかけるしかない」と自分に言い聞かせ、ドキドキしながら、気がつくと遥か遠くの街まで来ていました。
「次の電話ボックスが空いていたら告白しよう」と思うと、不思議と空いているのです。「大丈夫!大丈夫」と、勇気を出していよいよ電話を掛けます。

障壁

「もしもし」と太い声が聞こえました。
どうやら父親の登場です。一瞬「間違えました」と切りそうになりましたが、ここは踏ん張りました。
ここまでくると我ながら開き直りなのでしょう。

「同じクラスの〇〇です。〇〇さん、おられますか?
心の中で、心臓が口まで上がってくるほどバクバクなもんで、変な敬語でご了承ください状態です。

今思えば、あの頃の私に「よくぞ耐えた」とエールを送りたいです。
「少々お待ちください」と返答がきましたが、「さあどうする?」です。心臓が口から出そうなぐらい緊張しました。

本人登場

「はい、もしもし〜」本人キターーーーー。

緊張のあまり「もしもし、渡辺美里のFlower bed良いよね〜」って、いきなり会話スタートです。何それ。って突っ込まれそうですが、これが精一杯だったのです。
しかし、これが彼女のツボに入り会話が盛り上がったので良かったです。
結局、そのアルバムを貸すことになって話が終わりそうになったのですが、

「実は、君のことが好きになってしまいました。付き合ってくれませんか?」と、自然じゃないけど言えた。

沈黙・・・・・・・・・・

「いいよ!」

「えっ、ほんとに?」
何これ?マジ?OKってこと?うそ?と現実なのか夢なのか状態でした。

そして、受話器を切りました。

私は、天にも昇る気持ちでした。
なんて素敵な日なんだ。
嬉しくて嬉しくてFlower bedの挿入曲の「すき」を大声で歌っていました。
「夕焼けの向こうには、やさしが見える〜 君がとても好き〜、大好き〜」

私にとってのbrand new dayが始まったのです。

教室のベランダで話したり、みんなの視線が急に気になって、クラスでは中々話せなくなったり、電話ボックスに沢山の十円玉を積んて長時間話したり、公園のブランコで話したり、自転車の二人乗りをしたり、芝生に寝そべって星を眺めたり、それは充実した日々でした。

結局、その彼女とのお付き合いは短期間でしたが、最高の経験をさせてもらいました。

時々、Flower bedを聴くとあの頃の思い出が鮮明に蘇ってきます。

ほろ苦くとも今となっては素敵な宝物です。

あの時、逃げずに告白して本当に良かったです。


今日も良い一日でありますように
godaigenso

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