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#116 相手の中にあるものを掘り出す

コーチングでは、「引き出す」という表現がよく使われます。相手の中にあるものをどんどん「引き出す」ことは、マネジメントにおいての醍醐味でもあるのです。優れた人は、驚くほどたくさんのものが引き出されます。と言うより「掘り出す」感じです。

「引き出す」ための質問力も大切ですが、信頼関係や心理的安全性の方が、より重要になってきます。なぜなら、相手との間に安心感を築くことで、何でも話せる雰囲気を作り出すことができるからです。そうなったら次は、相手の中にあるものを引き出す作業に移ります。

発見モード

この「発見モード」とは、「質問する」「フィードバックする」といったコーチングの基本スキルを駆使し、相手の中から様々なものを引き出していきます。

質問を受けることにより、自分で考えながら答えを出していく過程で、自分自身が出した答えを自分の耳で聞くことにより「オートクライン効果」が起きたりもします。これが気づきやアイデアの正体です。

フォードバック

「feed」とは、与える、送る、満足させると言う意味で、「back」とは、応援、支持、後押しすると言う意味です。つまり、フォードバックとは、「相手を満足させて後押しすること」です。決して相手を指摘することではありませんので、ご注意ください。
フィードバックは、相手の気づきにもつながります。気づきもまた発見であり、相手の中からどれだけたくさんのものを引き出せたか、ということです。普段は意識もしていないような内容のものを引き出すことができれば、それは「宝」を発掘するのにも等しい価値があります。

押し付けられるものではない

上司と部下の関係でいえば、その「宝」こそ「気づき」であり、それが部下の行動を変革していきます。押し付けられるのではなく、自ら気づくからこそ、それだけの価値が生まれるのです。上司は「気づき」と共に、「やる気」をも引き出す立場にあります。

3つの角度

「引き出す」にあたっては、主に次の3つの角度を押さえておくとよいでしょう。

(1)将来:目標を設定する(目標設定)
(2)現在:現状を把握する(現状把握)
(3)目標達成方法を見つける(プロセス設定)

問題解決をテーマとするのであれば、上記の順番を入れ替えます。

(1)現在:現状を把握する(現状把握)
(2)将来:目標を設定する(目標設定)
(3)目標達成方法を見つける(プロセス設定)

この場合の「目標」は、問題が解決した状態を指します。また、現状把握にあたっては、原因分析を掘り下げていきます。

水平質問

大きく分けると、水平方向への質問と垂直方向への質問があります。
水平質問とは、ある質問の答えに対し、
「他にはどのようなものがありますか?」というように、選択肢やイメージを広げていくような質問です。

例えば営業担当者を対象に1on1をするのでしたら、「売上をもっと増やすにはどうすればよいか?」といった質問が考えられますが、たいていの場合、営業担当者なら既にいくつかの答えを持っているものです。
それらを引き出すことももちろん必要なのですが、それでは発見の価値が高いとは言えません。なぜなら、上司がいなくても自分で引き出すことができてしまうからです。既に持っている答えが一通り引き出されたら、さらに「他の方法は?」と水平質問をしてみると、今まで思いつかなかったアイデアが、文字通り「宝」のように引き出される可能性があります。「引き出す」というより、「掘り出す」と表現した方がふさわしいかも知れません。


人は基本的に、考えるにあたっては「怠け者」なのです。だから、自分一人で自分の中のものを引き出すには限界があります。相手と真剣に向き合うことで、アイデアがわいてくると考えています。

垂直質問

垂直方向への質問(垂直質問)は、水平質問によって引き出された答えについて、焦点を絞って具体的に掘り下げていくような質問です。上述の「売上をもっと増やす方法」で有望なものが挙がったら、それを具体的に実行するために、細部を詰めていくような質問があり得ます。施策を具体的にするには何が必要なのか、いつ行なうのか、誰が行なうのか、どうなれば成功だと言えるのか等々、今後の行動や状態のイメージを鮮明に描けるように質問を繰り出していきます。


水平質問・垂直質問を使いこなすことで、アイデアが引き出されると共に、さまざまな「気づき」も生まれます。まさにマネジメントの醍醐味を感じる場面です。

「相手の中にあるものを引き出す」ことを意識し、水平質問と垂直質問を、早速、職場で実践してみてください。

今日も良い一日でありますように
godaigenso

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