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早すぎた口述対策の実現~「気になるけど放置しがち…」からの脱却を目指して

はじめまして、OLSライターの小牧です。現在、論文試験の結果待ちをしながら、ロー入試・来年の司法・予備試験に向けた勉強を少しだけ(笑)しています。

予備試験の対策といえば、まず何と言っても論文、それから、甘く見てはならない短答。

口述は……。

「合格率は9割以上、大丈夫!」と考えている人が多いのではないでしょうか?

しかし、7月の試験以来、長かった結果待ち期間が終わり、論文に合格してみると、「あ、口述……大丈夫かな?」と不安になってくると予想されます。

特に、口述試験は、落ちると翌年度に短答からやり直しであり、論文までの努力が「水の泡」になってしまうという「守りの戦い」です。

失うものが大きい戦いは精神的に厳しく、自分自身考えただけでも不安。というより、不安しかありません。

そこで、合格していた場合に予想される不安な気持ちを少しでも抑えようと、オンラインロースクールで開催された、口述対策イベント「早すぎた口述試験対策の実現」に参加しました。

担当は、ぽつアドバイザーと、ともしびアドバイザー。先輩予備試験合格者のお二方に、口述試験についての気になる疑問、当日のアドバイスについていろいろ伺ってきました。

1.そもそも口述試験とは

まずはじめに、口述試験について簡単に。予備試験の口述試験は論文の結果発表から約2週間後(令和3年度は10月23日、24日)に開催されます。

両日のうち、午前・午後のどちらかに割り振られ、初日に刑事・民事のいずれか指定された一方を受験し、2日目は初日に受験したのとは別の科目を受験します。

合計で119点以上を取れば合格であり、標準的な点数が60点とのこと。先輩方曰く「片方の科目を少し失敗しても大丈夫」だそうです。

初日に失敗しても焦らないことが大切だと感じました。

2.口述試験における出題傾向と対策

2-1.民事科目

事実関係が書かれた事案を渡され、事案を基にした要件事実や条文へのあてはめ、民事裁判手続が問われます。事案はひねったものではなく、シンプルなものが多いそうです。

肝心の要件事実のレベルについては、詐害行為取消権が訊かれた年があったなど、年度によって若干のばらつきがある模様です。もっとも、基本的なものが問われるケースがほとんどであり、「そうでない場合も現場で考えればどうにかなる。よって類型別や大島本をきちんと読んでおけば大丈夫だと思う」とのことでした。なお、新問研だけでは足りない可能性が高いようです。

一方、手続きについては、短答で学習した内容で十分だとか。とはいえ、口述を受ける時点で、すでに短答式試験から半年近くが経過しています。個人的には、しっかり復習する必要があると感じました。

2-2.刑事科目

アドバイザーお二方とも、「刑事は大変」という意見で一致していました。

なんと、民事では紙を渡される事案が、刑事では口頭で伝えられるだけですそのため、頭の中が混乱してしまう心配があります。

「事案を耳から聞くことについて、しっかりと練習を積んでおく必要がある」とのアドバイスをいただきました。

事案を読み上げるだけであれば、法律の知識がいらないので、家族などに頼むのもアリかもしれませんね。
 
出題内容としては、刑法・刑事訴訟法の論文知識が問われます。一方、論文の刑事実務基礎科目で問われたような事実認定については、あまり出題されないとか。

論文試験後も、論文対策や論点・判例についての学習をしっかり継続しておく必要がありそうです。

また手続き面では、公判前整理手続きが頻出とのことでした。

オンラインロースクールで「刑事裁判実務の基礎」というシリーズイベントが開催されているので、受験生の身としてはぜひ活用したいところです。

3.結局いつ何をやるべきなのか?~シーン別ToDoリスト

試験概要と出題傾向について簡単に紹介したところで、いよいよ本題です。

具体的に、いつ何をやるべきなのか。

先輩方からいただいた実践的アドバイスをQ&A形式でまとめました。

Q1:論文の結果発表前でも、今すぐやるべきことは?

A:それはズバリ、ホテルの予約です!笑

笑いそうになりますが、笑いごとではありません。会場は浦安にある法務省の施設なので、ややアクセスが悪いです。遠方の方は、近くのホテルが埋まってしまう前に、近隣にホテルを早めに予約しておきましょう。

なお、気になる人も多いであろう学習面については、「民事・刑事に重点を置いて勉強するべし」というアドバイスをいただきました。先輩方曰く、「口述に落ちてしまった方は、論文後に勉強を中断していた人が多かった」とか。

Q2:晴れて論文に合格していた場合にやるべきことは?

A:今すぐ予備校の模試を予約しましょう。

枠が埋まってしまわないうちに、まずは予備校の模試を予約しましょう。定員が限られており、すぐに埋まってしまいます。

また模試を受ける以外にできる対策としては、まずは口述の再現を読んでイメージをつかむことが重要です。再現は予備校が配布しているものや、インターネット上で公開されているものがあります。これらをうまく活用するのがおすすめです。

また、可能であれば、合格者などに頼んで練習相手になってもらうのもよいでしょう。

さらに、本番で力を発揮するためには、体調面を整えることも重要です。口述試験は、短答・論文と比較しても、当日の体調に左右されやすいという特殊性があります。当日その瞬間のコンディションを整えておきましょう。

Q3:前日にやるべき準備は?

A:暇つぶしの道具と食料を忘れずに準備しましょう。

口述試験当日は自分が呼ばれるまで、そして、試験後に全員が試験を終えるまで、待機する時間が多くあります。

そのため、時間をつぶす道具を持っていかなければなりませんが……なんと、会場に入るときに電子機器の電源をオフにする必要があります。当日の待機時間を有意義に過ごすためにも、紙媒体の勉強用具などを必ず持っていきましょう(先輩方曰く、ヒマすぎて死ぬとのこと)。

2日目の試験後は、もはや勉強をする気持ちにはならないでしょうから、法律以外の紙媒体の資料(雑誌など)も持っていくと良いと感じました。ちなみに個人的には、文春一択

なお、長期間拘束される可能性もあることから、食料や飲み物も持っていくとよいそうです(先輩方曰く、お腹が空いて死ぬとのこと)。

4.本番当日の注意事項・留意点

最後に、本番当日の注意事項等について、先輩方の実体験に基づくアドバイスを紹介できればと思います。

4-1.会場到着&ひたすら長い待機時間

受験票の指定に従い、会場(例年、浦安にある法務省の施設です。)に到着すると、体育館のようなところに案内され、当日の試験番号(〇室〇番)を渡されて待機します。繰り返しになりますが、電子機器は使えません!

自分の順番になるまで待機、さらに全員の試験が終わるまで再び待機です。パイプ椅子に座らされ、スペースも密着しているそうです(現在は、コロナ対策がされていると思いますが)。

ここで多くの方が気になるであろう、服装問題について一言。

ほとんどの方がスーツで来ます

リクルートスーツである必要はありませんが、私服だと非常に浮くそうなので、気を付けましょう。ちなみに、「女性の場合はオフィスカジュアルだったら大丈夫なんじゃない?」とのことでした(※)

※編集部注
小牧くんが実際に会場に行ったところ、女性陣もオフィスカジュアルの人はいなかったとのことです。女性もスーツが無難かもしれませんね。


4-2.入室直前&試験本番

自分の番号が呼ばれたら、荷物を持って試験室前まで行って、その場で待機します。そして時間になったら、荷物を持たずに入室します。

入室した先には試験官が2名待ち受けており……そして、いよいよ試験本番のはじまりです。

ここで非常に重要な注意点を。

入室時に自分の名前を言ってはいけません! 「特定」となってしまい、一発アウトという噂があります。緊張している時だからこそ、十分に気を付けたいところですね……。

また、試験官は実は敵ではなく味方。助け舟を出してくれることも多く、受験生にとってはありがたい存在です。それだけに試験本番中は試験官とうまくコミュニケーションを続けることが重要で、議論したり反抗したり、分からないからといって無言になったりしないのが大事だとか。

 
5.イベントを終えて

「落ちる人は、余程イレギュラーな場合と考えて良い」というアドバイザーの言葉に安心しました。

過度に恐れず、一方で過度に軽視することなく、必要な対策をすることで合格する試験だと思えたのがよかったです。

個人的には、最近、法律の勉強をサボりがちなので、ここらへんで刑事系・民事系から気合入れて頑張ります。

(執筆・小牧一/編集・OLS編集部)

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