ガチャはシリーズ毎に分かれている方がコンプしやすいのか?

どうも、Olivineです。
またしてもガチャコンプの期待値にまつわる記事を書きました。
以前の記事はマガジンにしていますのでそちらもご覧いただけると嬉しいです。

今回の記事はタイトル通りです。
ガチャやトレカなどで、「6種のガチャ、Vol.1」「6種のガチャ、Vol.2」などと、バージョンが分かれていることってよくありますよね。
このとき、12種全コンプしようとしたときのガチャを引く回数の期待値は、
「12種のガチャ」の場合の期待値と比べて大きいのかどうかについて考察しました。

n種のガチャをコンプするときの期待値$${E_1(n)}$$は、

$$
E_1(n)=n\cdot \sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{k}
$$

具体的に6種の場合を求めてみると、
$${E_1(6)=6\cdot(1+1/2+\cdots+1/6)=14.7}$$
期待値は14.7回となります。

ここから本題。
まず、「6種のガチャ、Vol.1・Vol.2」といった具合に、ガチャ自体がシリーズになっている場合を考えます。
このときに12種全コンプする期待値$${E_2(12)}$$は、Vol.1とVol.2は独立なので、普通に和を求めて、
$${E_2(12)=E_1(6)+E_1(6)=29.4}$$
期待値は29.4回となります。

次に、「12種のガチャ」という具合に、ガチャが独立でない場合を考えます。
このときに12種全コンプする期待値$${E_1(12)}$$は、
$${E_1(12)=12\cdot(1+1/2+\cdots+1/12)=37.2}$$
期待値は37.2回となりました。

このように、ガチャはシリーズ毎に分かれている方がコンプ回数の期待値が小さくて済みそうです。


以下、ただの数学。

【結論】

ガチャはシリーズ毎に分かれている方がコンプ回数の期待値が小さくて済み、
その差は1シリーズあたりのガチャの種類 n に比例する。

さらにシリーズが m まで出ているときは、その比例定数はおよそm log(m)である。(logは自然対数)

m=2、すなわち2種類の場合について、2通りの方法で証明します。

$${E_1(2n)}$$と$${E_2(2n)}$$の大小を比較します。


証明1。手を動かして証明する方法です。

$$
E_1(2n)-E_2(2n) \\
=2n\cdot \sum_{k=1}^{2n} \dfrac{1}{k}-2\cdot n\cdot \sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{k} \\
=2n \cdot \sum_{k=n+1}^{2n} \dfrac{1}{k} \\
=2n \cdot \sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{n+k} \qquad \cdots (1)  \\
=\sum_{k=1}^{n}\cfrac{2}{1+\cfrac{k}{n}} \\
1 \lt 1+\dfrac{k}{n} \le 2 であるから、\\
n \lt \sum_{k=1}^{n}\cfrac{2}{1+\cfrac{k}{n}} \lt 2n \\
不正確な表現だが、\\
ざっくりnに比例する。(O(n)) \\
この比例定数を考察する。\\
(1)式について、nの係数を見ると、\\
2\sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{n+k} \quad である。\\
n \to \infty のとき、\\
\lim _{n\to \infty}2\sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{n+k} \\
=2 \lim_{n\to \infty}\dfrac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \cfrac{1}{1+\cfrac{k}{n}} \\
=2 \int_0^1 \dfrac{1}{1+x} dx \\
=2 [\log (1+x)]_0^1 \\
=2 \log 2 \\
ただし\log は自然対数。これを使うと、 \\
E_1(2n)-E_2(2n) \approx 2n \log 2 \approx 1.39n \\
この近似はnがそれほど大きくなくても適用できる。\\
$$

あえてこんなややこしい方法をとらなくても同様の結果が得られるのですが。ちょっと積分してみたかっただけですw


証明2。

nがある程度大きければ(4以上くらい)、次の近似式が成り立ちます。

$$
n \cdot \sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{k} \approx n  (\log n +0.57721)
$$

これより、

$$
E_1(2n)-E_2(2n) \\
=2n\cdot \sum_{k=1}^{2n} \dfrac{1}{k}-2\cdot n\cdot \sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{k} \\
\approx 2n  (\log 2n +0.57721) - 2 \cdot n (\log n +0.57721) \\
=2n(\log 2n - \log n) \\
=2n \log 2
$$

4行で求められます。

要約。
ガチャはシリーズ毎に分かれている方がコンプ回数の期待値が小さくて済み、
その差は1シリーズあたりのガチャの種類$${n}$$に比例する。

さらにシリーズが$${m}$$まで出ているときは、その比例定数はおよそ$${m \log m}$$である。(証明は略。証明2の方から同様に求められる)



誰に需要があるかわからない記事でした。
ガチャやトレカ、のめり込みすぎるのは危険ですね。

お読みいただきありがとうございました。

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