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映画の感想文「瞳をとじて」

※ネタばれあります。まだご覧になっていない方はお気をつけくださいmm
少し前に観ました。海の風景が多く、小旅行をしてきたような気分になる映画でした。


行方不明の友達を探す、静かな物語

「ミツバチのささやき」で知られるビクトル・エリセ監督が31年ぶりに発表した作品。
行方不明になったフランコを探す物語で、独特のリズムで時間が流れる映画。

ああ、みんなフランコに会いたかったんだな。
記憶喪失になっていたフランコ。
思い出すかな・・と、友達で映画監督のミゲルを始め、フランコの娘アナ、修道院のひとたち、みんなで見守る様子がたまらなく優しい。
主演のフランコが逃亡して、監督していた映画も完成せず、ミゲルはフランコに対して怒っていても不思議はないのに、受け止めている。

記憶がなくなっても、修理がうまくて、タンゴを歌うフランコ。人の習性はその人をあらわして、その人を支える。
こういうものをいくつか持って生きていきたいなあ、と思うシーンの数々。

海の風景

これはスペインの海・・ではなく日間賀島に向かう船からの風景

海が印象的。
ミゲルの家。集合体の仲間。犬。野菜を育て、漁に出る。夜はギターを弾いてうたう。ここも優しい時間。

修道院も海の近く。
フランコは、波の音を聞きながら眠っているんだろうか。
行方不明になった時にいた町が海沿いの町だったのは、偶然ではないはず。

ミゲルもフランコも、海が好きなんだ。海兵隊が芯まで沁みとおって、人生を貫いている。こういうの、いいな。

思い出しても、思い出さなくても

これも日間賀島 スペイン行きたい!

映画でも生き別れた娘を探す物語を作り、実人生でも行方不明の友を探すミゲル。
彼には、大切な人がそばにいない悲壮感はない。
大切な人がどこにいるかわからなくても、胸の中にじっといて、自分の一部になっている。

離れ離れの長い歳月はあっても、記憶が戻っても戻らなくても。そのままで心が通じ合う瞬間があって、会えなかった時間の長さを超える。
静かなやさしさを描いた映画。


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