第2章:均衡の崩壊
第2章:均衡の崩壊
リア・ナイトシェイドは、浮遊諸島アーカナムの中で最も美しいとされるクリスタル島の縁に立っていた。眼下に広がる雲海は、夕陽に照らされて金色に輝いている。しかし、彼女の心に平穏はなかった。
「何かがおかしい」リアは呟いた。
周囲の空気が、微かに、しかし確実に変化していた。魔力の濃度が徐々に高まり、呼吸するたびに肌がピリピリとするのを感じる。
「気づいたか」
背後から聞こえた声に、リアは振り返った。そこには影の守護者のリーダー、マーカス・ヴェイルの姿があった。
「マーカス、これは...」
「ああ、魔力の異常だ」マーカスは厳しい表情で頷いた。「しかし、これはほんの始まりにすぎない」
突如、地面が大きく揺れ始めた。リアは体勢を崩し、膝をつく。
「な...何が!?」
眼前の景色が歪み始める。空に、巨大な亀裂が走った。
マーカスが叫ぶ。「次元の裂け目だ!逃げろ!」
二人が走り出したその時、裂け目から巨大な触手が現れ、クリスタル島を捕らえた。島が軋むような音を立てる。
リアの頭に、突如としてある記憶が蘇った。
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