仏さま、マジ卍! 第3話「恋愛成就? それは執着では?」#創作大賞2024 #漫画原作部門
「おい、田中! この資料、明日の朝までに100部コピーしとけ!」
「え…? でも、今日はもう終電…」
「残業代? バカ言ってんじゃねーよ! 若いうちは、働くことに感謝しろ!」
鬼ヶ島商事での日々は、まさに地獄だった。
理不尽な要求、終わらない残業、怒号が飛び交う殺伐とした雰囲気…。
心身ともに追い詰められた太郎は、日に日にやつれていく。
「ああ… 神様、仏様、アイム様… 誰か、助けてくれ…」
公園のベンチで、力なく呟く太郎。
すると突然、目の前に眩い光が現れた。
「おや、これはこれは、ずいぶんと疲れた顔をしてるじゃないか」
光の中から姿を現したのは、ニヤリと笑うアイムだった。
「ア、アイム様…! なんでここに…?」
「お前の様子を見に来たのさ。どうだ? ブラック企業での修行は」
「修行って… これ、完全にブラック企業の社畜じゃないですか! もう、限界っす…」
「何を言っているんだ、太郎! ブラック企業は、自分を磨く最高の修行場だぞ!」
アイムは、熱く語りかける。
「ブラック企業で生き抜くためには、どんな理不尽な要求にも耐える忍耐力、どんなに厳しい状況でも諦めない精神力、そして、常に笑顔を絶やさないポジティブシンキングが必要になる。これらはまさに、仏教で説かれる『六波羅蜜』に通じるものがあるのだ!」
「ろ、ろくはらみつ…?」
「そう! 布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧の六つだ! ブラック企業でこれらを身につければ、お前は悟りを開くことだってできるかもしれないぞ!」
(悟りを開く…? そんな簡単に言うけど…)
「ま、とにかく、修行は始まったばかりだ! 諦めずに頑張るんだぞ、太郎!」
アイムは、太郎の肩をポンと叩くと、再び光に包まれて姿を消した。
(あいつ… 本当に俺のこと助ける気あるのか…?)
力なく立ち上がり、会社へと戻る太郎。
その時だった。
「あの…」
後ろから、優しい声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには清楚な雰囲気の美少女が立っていた。
(え…? こんな可愛い子、こんなところに…)
「もしかして… 田中太郎さんですか…?」
美少女は、少し赤らめた顔で、太郎を見つめていた。
(つづく)
この度のご縁に感謝いたします。貴方様の創作活動が、衆生の心に安らぎと悟りをもたらすことを願い、微力ながら応援させていただきます。