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大腸と胃の内視鏡検査

潰瘍性大腸炎(UC)を発症したのは、2017年のことだった。

その頃、久しぶりに会った旧知の方に「やせた?」と聞かれた。体重計に乗ることも忘れていた自分は全く気にも留めていなかったけど、あの時気づいたあの人は、ちゃんと私を見てくれていたんだろう。体力的にも精神的にも相当まいっていたから。限界を感じたころ、私は仕事を辞め、少し療養していた。その時やっと、からだの異変に気が付いた。

お腹がやけに張ること、ガスが異常なこと、食べた直後に便が止まらなくなること、そしてそこに血が混ざっていたこと。

しばし様子を見ていたが、どうにもならなくなり病院に行くことにした。その時初めて大腸内視鏡検査をし、潰瘍性大腸炎(UC)にかかっていることがわかった。

幸いなことに軽傷で、ペンタサを飲んだらすぐに病状は改善された。2019年の秋くらいからはペンタサもいらないほどになっていた。ただ、年一回の検査はしようと、先生と約束していた。

そしてその時がやってきた。

今回はついでに気になっていた上部消化管内視鏡検査、通称胃カメラも同時にお願いした。

さすがに4回目ともなると勝手もわかっており、同じ部屋で胃カメラもできることもわかっていたし、健康診断で気になっていた胃の調子、そして、腹巻をしないと動けない、胸張って歩けない胃痛に悩まされる日々が続いたことに不安を覚えていたから、今回は同時に診てもらうことにした。

内視鏡は、調べる部位を空っぽにする必要がある。

胃カメラは当日の食事を控える程度でいいが、大腸カメラは前日、いやそれ以上前からの気遣いが必要になる。今回も前日から検査食「ダルムスペース」という病院で購入したレトルト食品で検査に備えた。

このダルムスペース。量は少ないがわりと美味しい。とにかく量は少ないが。朝は日本食のおかゆとおすまし、昼は中華がゆとスープ、おやつにチョコレートクッキーと粉を溶かして飲むジュースが2種類、夜はコーンスープ。これだけ。でもわりと美味しい。

空腹に耐えながらダルムスペースに全エネルギーを頼る1日のラストに、下剤と大量の水を飲んで、翌日の検査に挑んだ。

いつもなら、夜の時点で下剤が効いてくるはずなのに今回はなかなか効き目を感じられなかった。ここ一年くらい、やたらと便秘気味なのが影響しているのか。何はともあれ明日は腸を素直にきれいになってくれ、そんな願いとともに空腹を忘れるべく寝床につく。

検査当日は検査室には8時半までに到着するよう言われていた。そう、ここから2リットルの戦いが始まる。

空腹に、ポカリスエットを不味くしたような液体2リットルを流し込み、腸をきれいにするのだ。検査の案内にはキレイとは言えない具体的写真が載っており、便の度にいまどのステージまできれいになったかを記していく。そして最後は看護婦さんに便チェックをお願いして、合格すると無事検査へと突入する。

例年私はすぐ合格するタイプで、2リットルを飲み干す前に合格し、すぐ検査に入れていた。が、今回はなかなかでない。半分の1リットルを過ぎたころ、「やばい」と焦る自分がいた。いつも本読んでるだけで合格するのに、今回は院内を歩いて刺激を与えたりしていた。しかし、2リットル終える頃には、いつもよりどうかと思いながらも、無事合格し、検査に入ることができた。

今回は胃と大腸を同時に行う。検査着に着替え検査台に乗せられると、「胃から検査始めますね」という会話を交わしながら、点滴や何やらがたくさんつけられた。

痛いのはいやだが、私はカメラを一緒に診ながら先生の解説を聞くことは好きだ。どこが悪いか、具体的にわかるし。ただ、今回はカメラの向きが私の見えない方向にあった。残念。心でひそかに戦意が喪失した。

口にはマウスピースを挟まれ、それがテープで固定された。そんな時、先生登場。しゃべれないんですが…軽く会釈をすると、いつの間にか記憶が飛んでいた。麻酔が効いたのだろうか。

何やらお尻のほうに違和感を感じた時、ふと我に返った。寝てた。そして今大腸検査をしているようだ。そのことに気づいた瞬間、検査が終わった。

全く何をしたかわからない検査。痛くもかゆくも面白くもなく、いたって普通に何事もなく今回の検査は終了した。

診療明細を見ると、計3箇所の細胞が採られ生検にまわされていたようだった。2か所と1か所。どちらが胃で、どちらが大腸かはわからない。ただ、青い液体は使われなかったようなので、恐らくポリープはなかったんだろう。

帰り際看護婦さんに「今日は消化のいい食べ物を」と言われた。今日もまだちゃんと食せないのか…空腹のお腹をさすりながら私は家路につく。

お腹空いたよ、ねえ、お腹空いた。


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