夏の中村橋が悪夢にならなかったのは理科のおかげ
勉強ができたのである。特に理科。中学3年の2学期の中間、期末、そして3学期の期末の計3回ですべて100点だった。
「坂本〜!テスト取りに来て〜」
「あ、はい!」
「お前すげーじゃん!でもおっかしいな〜そんな簡単かなぁ」
理科の女教師・坂東は、胸まで伸びた縮毛矯正の髪を触りながら私に目を向ける。そのまま「ん〜」と首を傾げ黒板の方を向き、頭をかく。再度こちらへ振り返るとニヤニヤ顔だ。変な教師だった。
坂東は椿鬼奴みたいなやつだ。中学1年からずっと私たちの学年に理科を教えていた