40代、仕事の壁
私にとって、仕事のプライオリティはそれほど高くない。
若い頃は仕事がそれこそ人生の全てで、時間のほとんどを費やしていた。しかし結婚、出産を経てその考え方は変わった。
サラリーだけで収益を得る生活に不安を覚え、副業めいたものも始めてからは益々本業に対するプライオリティは下がっていった。
別に仕事のモチベーションが下がった訳ではない。人材育成や組織価値向上といった自分にとって「好きではない」消耗する仕事で評価されることを諦めただけだ。
好きな実務で会社に貢献して、給料が上がらない代わりに残業もしない、そんな雇用形態で65歳まで働くというのが仕事に対する今の私のスタンスだ。
そんな訳で、出世コースを自ら捨てて、はや10年。その間、仕事の悩みはほとんどなかった。
子供が産まれて時短勤務になったこともあり、大きな仕事は任されないが自分で進行をコントロールできて定時に上がれる今のポジションに、満足していたはずなのに。
第一線から外れて10年近く、数ばかり多くて予算の少ない地味な案件ばかりこなしてきたが、今季からなぜか昇格の話が再浮上したとともに花形といってよい担当に引き戻された。
一抹の不安はあったものの、昔経験している仕事だし当時はそれなりの評価も得ていたのだから、すぐに波にのれるだろうとたかをくくっていたが、とんでもない。昔のようにはいかないのだ。
今の私を悩ませるのは、世間と自分の間にズレがある、ということ。企画屋なのに、流行りものには興味がなくテレビもSNS自分から情報を取りに行くもの以外はほとんどみない。趣味は図書館通いで、自分にとって面白いことが口語の伝承文学だったりする。
若い頃は、世間とは違う「自分にとって面白いこと」を追いかける企画のスタイルが個性としてある程度は評価されていたんだと思う。
だが、40代も半ばを過ぎた今、そのスタイルは「流行りについていけないオバサン」でしかなくなる。
クライアントはみな私より若い。同じチームのプランナーはみな若く、中には娘でもおかしくない年の人もいる。
色々な要因が重なっているとはいえ、企画の採用率が低い。私の企画は色あせたものになってないか?
出世に興味はないものの、広告の仕事は好きで、おばあちゃんプランナーとして生涯現役のつもりだったのに。天職だと思っていたこの仕事で、まさかこんなに自信喪失するときが来るなんて、思いもよらなかった。
若い人が作る企画は面白くて、社内の評判もよい。私の担当にあたった営業は、はずれを引いたと思ってないかな。ここ何年も大型案件受注してないし。かといって、企画にフレッシュさもないし。生涯現役なんて、周囲の関係者からしてみれば、いい迷惑なんじゃなかろうか。部署移動して半年、すっかり打ちのめされている。
仕事で自己実現とか、露ほどにも考えてないオバサン会社員。しかも若い感性が求められる広告業界。この十年は「チャレンジもしない代わりに頼まれた仕事は全部受けて70点くらいの評価」でゆるゆると会社員生活を過ごしてきたが、あと十数年のキャリア人生をどう生きるのか、自分の視座を変える時期にきたようだ。
視座を変えるには、自分の意識を変えるか、環境を変えるか、のどちらかしかない。
◼️意識チェンジ
1・平均以下社員として開き直る
2・今より努力する
◼️環境チェンジ
3・マネジメントに転向
4・転職
私の選んだ選択肢は2。この年で努力なんてみっともないけれど。でも、まだ自分はやれること全てをやってない。仕事に最大出力出してたころと比べたら、もっとがんばる余地がある。
本屋に行って、どんな本が売れているのかチェックしよう。街に出て、何が売れているのか見てこよう。
プライベート優先は変わらないけど、本業にもっとリソースを割こう。大体何点でよいや、なんて考えずやれるだけの努力をしてそれでもダメなら開き直るか、さらに努力を続けるか、辛くなったら環境を変えることを検討すればよい。
それにしても。
40代も半ばを過ぎての努力は、若い頃とは違う気がする。何の努力をするのか??動きながら考えていくしかない。