#ProtestToo ―香港デモと性暴力―

こんばんは。Dojaです。

普段はイギリス大学院やプリセッショナル関連のトピックを書いていますが、今回は自分の専攻に関することを書いてみます。


#ProtestToo

突然ですが、タイトルにある #ProtestToo について知っていますか?

#MeTooは知っていてもこれは知らない方が多いと思います。

このハッシュタグは、2年前に香港で起きた民主化デモにおいて、警察による女性デモ参加者への性暴力に抗議する運動が起きた際に使われた、#MeTooに共鳴したスローガンです。

筆者が学部時代の香港留学でデモを経験したことは前の記事で書きましたが、実は卒業論文で香港デモのジェンダーに関する動きにフォーカスしたテーマの研究をしたので、#ProtestTooは研究のメイントピックの一つでした。

この#ProtestTooムーブメントはtwitterやインスタでも多く投稿・拡散されましたが、3万人近くが参加した大規模な抗議集会も開かれました。


その集会が開かれたのがこの記事を書いているちょうど2年前、8月28日だったので、このムーブメントについて一度詳しく書いてみようと思います。


どんな被害が?

警察による性暴力は、デモの現場でも、周囲の目の届かない場所においても起こりました。

現場においては主に女性への痴漢行為や、セクハラ発言が多く目撃/報告されました。

中でも、スカートをはいていた女性の手足を無理やりつかんで、下着が露出してしまった状態で多くの人の前で拘束した出来事には非難が殺到し、もはやレイプではないか!との声があがりました。(拘束された女性は#ProtestToo集会で、スカートをはいているから歩かせてほしいと警察に言ったが無視され、また警察から”売春婦”と暴言を吐かれたと話しました)

また香港では女性を逮捕する時は女性警官が対応するという決まりがあるそうですが、デモにおいてはほとんど守られていませんでした。

そして、現場以外には拘置所において、女性に人権を蹂躙した形で不必要な裸の身体検査を強要したケースや、レイプ被害が告発されています。

後に述べる女子学生の告白や、デモに参加すらしていなかった未成年の少女が警察に無理やり連れ込まれ、輪姦されたニュースなどは、公権力が暴走すればこんなことを平気でやるようになるのか…と、衝撃をうけました。


筆者がこのトピックを知り、連帯した理由

知ったきっかけは、留学中受講したソーシャルワークの授業中に先生が#ProtestTooについて言及したことでした。

その時は、へえ~そんな運動があるんだ、という感想を持っただけで特に調べたりはしなかったのですが、

1か月後くらいに大学で学生たちと学長の討論会?のようなイベントが開催された際、ある女子学生が、デモで拘束されて連れていかれた拘置所において警官による性暴力被害に遭った、と顔と名前を公表しながら告白し、大学内だけでなく香港社会、また海外でも大きなニュースになりました。

(👆学生へのインタビュー、フラッシュバック注意)

現地学生の友達がSNSで拡散したその映像を見たとき、自分と同じくらいの年の女子学生たちがこのような非人道的な性被害に遭っているという現実、また、彼女を応援するために会場にいた大勢の学生たちが声をあげていた光景に心を動かされました。

今まで性暴力の被害について、他人事のように考えていましたが、実際に被害に遭った人、連帯する人たちが筆者の身近なところに現れたことで、事態の深刻さがありありと伝わり、自分事のように捉える気持ちが芽生えました。

また自ずと、自分も被害に遭った人たちに連帯しようという気持ちにもなっていました。

同時に、香港デモではプロテストの現場における警察の行き過ぎた暴力行為や、反対に一部参加者の過激なふるまいなどがクローズアップされますが、このような性を手段とした女性への攻撃はあまり報道されていなくて、問題の深刻さが伝わっていないと感じました。

そんなモヤモヤした気持ちと、帰国後に指導教員の先生から「あなたにしか書けない論文を書いてみたら?」と、背中を押してもらったこともあって、なら私が調べて形にしてやる!という気持ちが沸き、当初の卒論のテーマを変更して香港デモのジェンダーの動きに着目した研究をやりました。

(今のところ)イギリスでもこのテーマをさらに深化させた研究をやろうと思っています。


最後に

#ProtestTooは、香港デモにおける深刻な性暴力被害を明らかにするきっかけになりましたが、実際に明らかになっているのはごく一部で、多くの被害者が警察への不信感や反対勢力からのバックラッシュ等を恐れて、被害を告発できていないといわれています

また、国安法が制定された今では、このトピックについて語ることや、さらなる調査はかなり難しくなっていると思われます…。

それでも、このトピックについて知り、研究し、また連帯の気持ちを持った一人として#ProtestTooがあったことはこの先もずっと忘れずに記憶/記録したいし、プロテストにおける性暴力という、社会に知られていない側面についてハイライトできるように、研究に全力を尽くしたいと思っています。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


ではまた!

Doja :)

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