リモート合唱を作り続けたら上手いがゲシュタルト崩壊した話②

機動性は間違いなく高い。技術レベルも信頼出来る。
しかし興味がなければメンバーは乗ってこないし、最終的にどのくらいのものが出来るのかも全くわからない。少しだけ緊張した。

リモート合唱のテストケースを作るにあたりサンプルとして選んだのはこの曲だった。このノートをどういう人が読むかわからないので細かい説明は省くが、男声合唱団ザ☆シュビドゥヴァーズが毎回発声の時に歌っているクソ宗教練習曲である。
カデンツよりは複雑で動きもあり、難しすぎず、何より歌い慣れている。外聞はさておき、検証には結構理想的な条件だった。

団内の共有ラインに書き込む。
「TL上でにわかにリモート録音の機運が高まっています。個人的には厳しいと思ってましたが、この感じだと音質の悪いまま押し切ってでも発表する所は出てくると思います。こうなったら何が可能なのか洗い出しておきたいです。可能な人、ご協力お願いします。」

「もう他の団体も動き始めています。うちが最速で検証するには、恐らく3日はかけられません。明日夜には第一次のミックスを開始します。音源が出た人から組んでいきます。

パートあたり最低1~2テイクあれば実験は出来る。メンバーのうち数人でも参加してくれれば形になるかどうか分かるだろう。条件を整理した。

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テンポ:80
とり方:メトロノーム合わせ。それが難しいことを確認したらボカロ使ったりを考える
場所:できるだけ響かない所で
機材:持ってる物の中でなんでもOK。携帯とかでも良いよ。
音量:ピーク割ってなければなんでも大丈夫。余裕ある人はほどほどの所に調整してみて。ただ速度の方が重要、ざっくりでいい
頭出し:意識しなくてOK。こっちで揃える
タイトルテンプレ:(曲名)_bass_(名前)_take1
テイク数:2~4テイクくらい。
ガイド音源の概念:とりあえずなし

できるだけマイク吹かないように・ノイズ入らないように。あくまで出来るだけで大丈夫。やばい位歪みが激しかったりする場合は相談を。

期限:最速

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メンバーの技術を持ってしても、間に合うだろうか。
予定が合わない等、個人個人の事情もあるだろう。もしあまり興味を持ってくれなかったとしても、途中経過の音源を継続的に上げていけば、気が向いた時に録ってくれるかな。全部揃わなくても一部のパート、あるいはパート1つずつで4テイク分だけでもあれば多少は形になるだろうか。他が出す前になんとか作りたいんだが。


それから24時間。
ドライブ上に集まっていたのは、全パート、総計45テイク分の音源だった。
わずか1日にして合唱団まるまる1個人数分の音源サンプルが揃ったのである。

甘く見ていたのはこちらの方だった。
途中経過のミックスも、3日の猶予も、このメンバーには必要ない。
最高の素材は手に入れた。さあ、実験開始だ。

続く


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