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Rossin Record Reboot 2024①


ペダルに関する一考察

35年前に所有していたRossin Recordの再現を
潜行して行っていましたが
先日、「暫定的に」完了しました。
暫定的の意味は、大まかな再現は終えて
車体としては十分に完成したのですが
細かい部分について、今回の完成までに
入手が間に合わなかったパーツを探し出し、付け替えると言った
自分の中で詰める余地がまだ残されているからです。

そしてまず今回の再現のキッカケは、昨年3月頃に
ビンテージサイクル界の大御所ショップ、CORSA CORSAの江口氏にした
何気ない相談から。
いつかはあのRossin Recordを再現したいと
ネガフィルムをスキャンしたデータの中に入っていた
35年前のRossin Recordのデータを、USBメモリーで持参して相談したところ
「これとほぼ同じのフレーム、今ウチにありますよ。」
との一言から始まりました(笑
え~!!!、話がとても速いです。(笑

私としては、ebay辺りで数年掛けてドンズバのフレームを探して
そこから塗装やパーツの収集にじっくり時間を掛けて
あのRossin Recordを再現する…
そんな妄想をしていたのですが、灯台元暗しでした。
「これですよね」と江口氏が見せてくれたのは
「ほぼ」35年前のフレームと同じ
既に再メッキが施された、無塗装でピカピカの
全身クロームメッキのフレーム。
聞けば古いフレームを一度塗装剥離して再メッキ。
C-C530㎜位、ちょうと35年前のRossin Recordと同一のサイズ。
なで肩フォーククラウンに五角形の中に「R」の刻印。
シートステーの笹葉に縦に刻まれた「Rossin」の浮き文字。
ブレーキアーチの造形も、35年前に撮影した写真データと同じ造形。
相違する箇所は
Fディレーラーの直付けラグがないので、バンド止めになる事と
Rブレーキケーブルが、ケーブルガイドを介した外付けではなく
トップチューブに内蔵されている事。

しばらくその場で思案しましたが
全く同じ仕様にすると言うのも芸がない。
これも何かの出会い。
このフレームにはコイツの来歴があって、その個性を尊重する。
過去にしがみ付き過ぎるのも如何なものかと柔軟に考え
ならばこのフレームで、一丁組んで見るかと即断しました(笑

記憶は、都合のいい様に再構築される。

そして残された画像データや、当時の記憶を呼び起こし
少しづつパーツ集めを始めました。
何より、所有当時の写真が残っていたのが
今回の再現に大いに役立ちました。
ただやはり、細かい部分について分からない部分も散見され
そこは当時の記憶を呼び起こしながら、パーツの選定をしました。

そしてある日、オークションを覗くと
「あ、このペダル!」と言ったペダルに出会いました。
SUGINO75、HI CARBON PEDALです。

あ!見ィ~つけた!と思いました。
SUGINO 75の刻印
ペダル本体には、SUGINO75 CFRTPの刻印が有ります。

CFRTPとは

繊維強化プラスチックは、軽くて錆びないプラスチックの利点に繊維強化による強さが加わった材料です。近年は、炭素繊維(CF:Carbon Fiber)と繊維への含侵性や密着性に優れた熱硬化性樹脂(Thermosetting resin)を用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)が主流となっています。 CFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo plastics)は、CFを強化材とし、母材に熱硬化性樹脂ではなく、熱可塑性樹脂(Thermoplastic resin)を用いた繊維強化プラスチックとなります。 CFRPは成形プロセスや二次加工性が金属加工と大きく異なるため、適用分野の拡大やコスト競争力があるFRP製品の実現への制約となっていました。 CFRTPでは、成形プロセスの短縮、プレス加工や溶融接合が可能であり、大幅な生産性の向上と低コストを両立することができます。

上記
https://tip-composite.com/products/cfrtp/
より
カーボンペダルなんですね。
SUGINO75シリーズなので1910年の創業で、製造されたのは’85年頃なのでしょうか。
これを落札した時、大まかな記憶と照らし合わせての購入で
35年前の画像と比較した訳ではなく…
改めて比較してよく見ると、ちょっと違う様な…
いや、でもやっぱりこんな感じだよな…

そしてCORSA CORSAさんにペダルを預け
今年7月、車体の完成が間近となり作業も佳境に入った最中で…

「あのう、この預かったペダル、シャフトが両方L(左側)ですよ…」
「えっ⁉(汗」

ペダル本体はL/R(左右)ですが
確かに、シャフトは両方「L」ですね…

まさかの展開でした(笑
出品者がOHした際に、誤って組付けたのか
若しくは、メーカーが間違ったのか…
検品しても、ここはノーマークだよなぁ~(笑
右側のペダル、どうしよう…
…と言う事で、急遽名古屋へ

確か6月に行ったあの時、あったんだよなぁ~⁉と
指定席で缶ビールを飲みながら1時間弱。
乗り慣れた市営地下鉄桜通線の桜本町駅を降りてすぐにあるあそこへ…
またカトーサイクルさんにお邪魔しました。
謎のTOEI木彫りがお出迎えです(笑

おじさ~ん、ペダルちょうだ~い!!!
あいよ~!

いつもニコニコのおじさんでした(笑
そして入手しました、新たなSUGINO75 HI CARBON PEDAL。
この時ついでにもう一つ、SELLE ROYAL CONTOURのサドルも入手しました。
このサドルについては、次の機会にお話しします。

ペダルの方は購入後
トゥークリップが片方しか無い事に気づきました(笑
カトーサイクルさんが仕入れた際には既に1個しかなかったみたいです。
しかしトゥークリップは
既に購入したL/Lシャフトのペダルに2個あったので
賄うことが出来ました。

中々迫力のあるパッケージですが、未使用品でした。
SUGINO 75は杉野鉄工所75周年を記念して
社の総力を挙げて取り組んだプロジェクトと聞きました。
そしていつもの引用、サイクルスポーツ誌1986年11月号増刊
「臨時増刊 実用カタログ’87」を紐解くと…
HI CARBON PEDALの記述がありました。
時はバブル前夜、あらゆる業種にお金が行き渡っていたからこそ
この様な先進的な商品を開発出来たのでしょうね。
納車直後の画像。
サドルはSELLE ROYAL CX、ペダルは間に合わせで手持ちの7400DURA-ACEです。

サドル、色は革のバーテープにマッチしていますが
ここは、あの35年前のサドルを再現したかったので
暫定で変えてみました。
正直、シートレールの造形が気に喰わなかったと言うのも有ります。

少しづつモディファイし直しサドルを再販品のSELLE ROYAL CONTOURに交換しました。
しかしこれは、色がマッチしないので近々また変更です。
そしてHI CARBON PEDALに付け替えましたが、少し雰囲気が違うような…

ん~、でも人の記憶って35年も経てば思い違い等もあるだろうし
造形も間違いないだろうから、これでいいか!と
思っていました。この時は…

そして後日、以前お話しした
ブルーウィートサイクルさんのところへ伺った際

そしてまたお邪魔しました。

葉山自轉車市場の柏木さんが
ヘッドパーツを探しているとの事で
何気なく在庫を見てみると…

普段は修理中の自転車が立て掛けてよく見えなかった、ノーマークのショーケースに
ヘッドパーツとペダル類の在庫がありました。

ヘッドパーツのラインナップも中々ですが
あれ…「mega」と見えるロゴの青い箱は、もしかして「ofmega」?
もしかして…

ああっ!!!、これだよ、コレ!

思い出しました、コレでした!
35年前、ペダルを見た時に「ofmega」のロゴがあったのを
コレを見て思い出しました!

そしてこれも譲ってもらいました。

「ofmega sintesi(イタリア語で合成の意)」
そうそう、シューズとの接触面に格子状の模様があったなぁ~
間違いない!
貴重な元箱説明書付きです。
ペダル本体はカーボンではなく、バリバリのプラスチック製(笑
でも、デザインはこちらの方が秀逸だと思います。
ちなみにシャフトの回転はゴリゴリです(笑
ofmega sintesiの刻印がありますね。
そうそう、ここにofmegaの刻印があったのを思い出しましたよ。
底面。
特徴的なシャフトの円錐状カバーを見ても、間違いありません。
そうそう、トゥークリップも黒かったよなぁ~
前後でスライド調整させる方式です。こちらの方がシンプルで調整し易いですよね。
左ofmega、右SUGINOの比較画像。
ofmegaは’82年頃に「ミストラル」と言う上級コンポーネントに
このペダルを充てたみたいですね。
後発のSUGINO75はこのペダルのデザインから着想(笑)を得たのでしょうね。

ここで大いに参考になったのが
下記の旅からす氏のブログ
旅からす本館 日本をもっと楽しもう!!」から。

そしてもう一つ参考で

上記の内、TEXTを和訳すると

Ofmega はイタリアのブレシア近郊のサレッツォに拠点を置き、最近まで営業していました (現在も営業している可能性がありますが、営業の兆候は見られません)。

同社の起源については、さまざまな議論が交わされています。Ofmega は Officine Mecchaniche Giostra (OMG) という会社から発展したという説が有力です。Ofmega は最初の 2 つの単語の最初の 2 文字と、最後の単語の最初の文字と最後の文字です。OMG 自体は、以前の伝説的なブランドである「Magistroni」や「Gnutti」と何らかの形で関連しているようです。2003年の Web サイトでは、Ofmega は 50 年以上事業を営んでいると主張しているため、他のブランド名を使用したり、他のブランドの下請け業務を行ったりしたという考えには、ある程度の真実が含まれている可能性があります。

Ofmega の特許の歴史は、これらのさまざまな物語にいくらか光を当てています。1966年の特許では、この会社は「OF. ME. GA」と呼ばれており、「OF」と「ME」の後にピリオドが付けられています。「OF. ME.」が「Officine Mecchaniche」の略であることは想像に難くありませんが、「GA」はややわかりにくいです。この会社は Dino Perotti が所有していると説明されています。

1975 年の特許では、この会社は Ofmega として明確に特定され、所有者は Dino と Mario Perotti と記載されました。この形式は、1990 年代に枯渇し始めるまで、特許記録全体にわたって存続しました。

彼らの前史が何であれ、Ofmega は 1980 年代に入手可能なイタリアの機器の中でも特に興味深いもののいくつかを生産していました。また、彼らは主要なサイクリング チームの共同スポンサーでもあり (かつてはジャンニ ブニョがアタラ-Ofmega チームで走っていました)、一般的に驚くほど高い知名度を誇っていました。

Ofmega の優れたグループセットは Premier、Mistral、CX と呼ばれ、それほど優れていないものは Mundial と Master と呼ばれていました。

プラスチックを奇抜に使用したミストラル グループセットは特に革新的でした。Ofmega は、トリノの Studio Giardino の真面目なプロの工業デザイナーであるブルーノ ジャルディーノにミストラルの部品を設計してもらうという大胆な措置を取りました。

ミストラル グループセットをめぐる騒ぎで、プレミア コンポーネントの長所が忘れられてはいけません。Ofmega は、高品質のアルミニウムだけでなく、最先端のプラスチックも製造できます。

フランク・ベルトは、1987 年に Ofmega が Simplex と合併したと主張しています。確かにこの頃から Ofmega は独自のディレイラーの設計をやめ、Simplex モデルのブランド変更を始めました。しかし、Simplex はその後、ますます興味を失っていくオーナーが次々と現れ、Ofmega は独自の道を歩み続け、2005 年頃までその状態が続きました。そのため、合併の性質についてはよくわかりません。

上記
https://www.disraeligears.co.uk/site/ofmega_derailleurs.html
よりgoogle和訳機能で翻訳。

結果

ペダルはSUGINO HI CARBON PEDALで行く事にしました。
前回所有のofmega sintesiに形状が酷似し
微妙に変えると言ったコンセプトに合致したから。
いやぁ、ペダル一つ取っても
色々と勉強になり
自らの記憶はあまり頼りにならない事が今回分かりました(笑

おしまい。

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