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リリカのこと

鎮痛剤ではありません。

1976年に、サンリオから創刊された少女漫画雑誌の名前です。

10代のある日、

両親が突然家の奥から出してきました。

創刊号から最終号まで全てを保管していたのです!

本棚の一段をまるまる占領してぎっしりと並べられた「リリカ」。

その時のわくわくする気持ちは、今でも忘れられません。

その日から「リリカ」は私の年上のお姉さんになりました。

片時も離れることはなく、ページをめくるごとに、

きらきらした、でも少しせつない大人の世界を覗き見るようで、

ドキドキしたものです。


そんな「リリカ」は、

海外での出版も視野に入れていたため、左綴じでセリフは横書き

という珍しい雑誌でした。

初期はオールカラーで、現在の漫画雑誌ではみられない、よい紙質でした。

そして、そして、手塚治虫、石ノ森章太郎、水野英子、ちばてつや、

山岸涼子、竹宮恵子、萩尾望都、永島慎二…

というそうそうたる執筆陣。

これでもかという熱量で、読者をあらゆる世界に連れていってくれました。


もう何回読み返したか知れない私と「リリカ」の蜜月は、

両親には「漫画ばかり読んで勉強しない」とうつり、

ある日突然本棚から撤去され、それはそれは悲しい思いをしたのでした。


「リリカ」を児童館に寄付した、と聞いたのは

ずっとずっと後になってからのこと。

たくさんの少女が、

かつての私のようにドキドキしながらページをめくったのなら。

私だけのお姉さんではなく、

たくさんの少女のお姉さんになったのなら。

想像するだけで温かい気持ちになって、思わず微笑んでしまいます。


おとなになった今、

いまだに「リリカ」を知ってる!という人に出会えていません。













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