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山の楽園を目指す、「武井茶園」の豊かな挑戦

武井茶園は山のてっぺんで農薬を使わない茶畑を営む。

山の恵みを味わうお茶

山のてっぺんで鳥のさえずりを聴きながら育つお茶たち

武井茶園は、愛媛の山あいの町、小田地区の茶園だ。人里からずっと上の山の頂上あたりで農薬を使わないお茶を作っている。

朝日が注ぎ、山菜が揺れ、鳥がさえずる。春の温かな風に吹かれた茶摘みは、とても穏やかで清々しい。周りには梅や原木しいたけを植えたり、小道や池があったりと、手作り感のある朗らかで優しい園地が広がっている。

1キロメートル以上続く、園地の小径。道沿いに山ツツジやオオバコ、野バラを楽しめる
山ツツジ
園地には山菜の王様・タラの芽が優雅に風になびいている。

この日、八十八夜の茶葉を収穫真っ最中の浩さんに代わり奥様の好子(よしこ)さんに茶園を案内してもらった。

武井茶園を案内してくれた好子さん

武井茶園のあゆみ

7年前は全面が竹ヤブ状態だったという

茶畑は先代から引き継いだものだ。今でこそ森の豊かさを味わえる茶畑も、実は7年前まで竹ヤブだった。およそ20年前から使われなくなり、竹がうっそうと生えていた。

7年前に早期退職した夫・浩さんが一念発起し、開墾することになった。チェーンソーで切り、切った竹を運び出しをひたすら繰り返した。3年前にようやく茶畑を再開することができた。

お茶の木の根元には竹藪だった跡が残っている。

他にも1km以上に及ぶ道を切り開き、茶園の行き来が楽にできるように。そして、木陰のトンネルができ、道端には野花がちらほら咲く緑の道ができた。茶園の広さは1町6反(およそ16,000m2)の敷地のうち1町(10,000m2)が茶畑になっている。

作った道を案内する好子さん。道の脇には切り出した木が残る
7年かけて切り出した竹やヤブの木々は自然に還る時を待つ。

武井茶園の魅力

国道から見えるように梅を植えた。木が育てば白い花の山を見せるだろう。

現在、協力者の方と共に剪定作業や、摘み取り作業を行っている。茶摘みのシーズンは「夏も近づく八十八夜」というように、2月3日の立春から数えて88日目の5月の連休ごろ。「鳥の声、朝日とそよ風を浴びながら茶摘みができるのが一番の幸せ。どこかに行かなくても楽しいのよ」と大型連休のお仕事に不満を漏らさず、楽しそうに話す好子さん。お茶を摘む好子さんを見ると自然とお茶を飲みたくなる。

武井茶園の最大の魅力はご自身の山を楽しく使われているところ。現在、全国の山で所有者が山を管理しきれなくなっている。山や森は厄介者扱いされ、もはや、考えることを放棄している人も少なくない。

山を愛でて開墾し、美味しいお茶を作っている姿は、とても優しく温かい世界が広がっていた。武井茶園はお茶を作るだけにとどまらない。豊かな森の再生と、人と森との距離感の新たな形を見出している山のように感じた。

武井茶園の朗らかで楽しげな山づくりの挑戦はつづく。

7年間の開墾の終盤に開拓したエリアの茶畑。お茶の木の育ちはこれからだ。
最近ブルーベリーも植えたそう。山を楽しむ挑戦はまだまだ続きそうだ。


武井茶園のお茶はこちらからご購入できます。

農薬を使わず、森の恵みとご夫妻の愛情たっぷりに育った「武井茶園」のお茶はこちらからご購入できます。

また、お茶は約80°のお湯で飲むと甘味と渋味がちょうど良いのだとか。

また道の駅小田の郷せせらぎでも販売中。すでに5月7日から新茶も売り出している。


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