句集『眠れる木』を読む。
『眠れる木』浦川聡子氏の句集を読んだ。
あとがきによると、第三句集だそうだ。
五句選で紹介。
この句集の最初の一句。
「手鏡」、「夜桜」など非日常感のあるものから、
鏡の不思議さに内容が移る。
鏡に映った世界の不思議さ、
手鏡を閉じれば風景や時間を閉じ込められるのではないかという写真撮影のような発想など、
見どころが多い。
「鳥の恋」と森や山や庭などの自然ではなく、都会の取り合わせが面白い。
しかも「六本木ヒルズ」というおしゃれな場所。
そんな場所の「鳥の恋」も、シティガール、シティーボーイならぬ、シティーバードなりにおしゃれそう。
賑やかな熊手の表側ではなく、構造が見えてしまう裏面に注目した句。
賑やかさの裏側をふと見てみたくなる気持ちが、さびしさに繋がっているのだろうか。
「見てしまふ」なので、「見ない方がよかった」という後悔のニュアンスもありそう。
夜店が出店されている最中も賑やかだが、片付けも賑やかとは。
片付けの景なので、この夜店はお祭りの露店だと読んだ。
この夜店が参加したお祭りの、盛況ぶりや活気を感じる。
「水中花」も「パソコン」もモノ同士。
取り合わせが、水中花は水中で、パソコンは地上(陸?)である。
パソコンを使っていると端末が微熱を持つが、生きているようだと思える。
水中花も生きている花を似せたモノなので、「生きているっぽく見えることがあるモノ」同士の取り合わせとも読める。
また、水中花はレトロ風で、パソコンは今風だという、時代的なギャップのある取り合わせだとも言える。
パソコンの作業中に目に付く位置に水中花が置いてあるのかもしれない。
【まとめ】
上品で静謐な俳句が多かった。
それだけではなく、作品の端々から作者の個性も感じた。
最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!