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越智友亮句集『ふつうの未来』-親しみやすさと面白さの両立-

越智友亮氏の句集『ふつうの未来』から五句紹介。


噴水の水やわらかく水に消ゆ

31ページ

噴水の水が落ちた直後の景を詠んでいる点が珍しい。

体温はたましいの熱梨を食う

37ページ

『体温はたましいの熱』の言い回しが面白い。
梨のみずみずしさやおいしさも感じる。

雲は夏Wi-Fiとんでない町に

92ページ


『Wi-Fiとんでない町』は田舎だと推測できる。
田舎と夏の取り合わせが爽やか。

水槽は部屋を灯して夏の風邪

104ページ

水槽のぼんやりとした明るさと、夏風邪のぼんやりした体感が重なる。


終電に駅は残され悴みぬ

117ページ


動かない駅を『残された』とし、『悴みぬ』という擬人法で終わる。
二重の面白さがある。



分かりやすい俳句が多く、読みやすい句集だった。


最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!