渥美清の俳句 -俳句と映画-
先日、神保町の古本市で『風天 渥美清のうた』(森英介著)を手に入れた。
その本に好きな俳句が多かったため、一部紹介する。(掲載順)
さくらんぼを食べる句は味の話になりそうだが、食べ終わった直後のふとしたさみしさに注目している点が面白い。
同作者の類句に〈流れ星ひとり指さし静かなり〉がある。
「動作と音も句に入れて欲しい」と考える読者は「指さし静かなり」の方が好きかもしれない。
私は要素が少ない方がしんみり感が出ると思い、こちらが好きだと思った。
「流れ星」と「肌寒く」が共に秋の季語で季重なり。
剝製の生前の姿を想像する着眼点と優しさが良い。
置物の鷹の、物になってしまった哀れさも感じる。
作者の幼少期の思い出だろうか。
映画のワンシーンのようでもある。
「好きだから強くぶつけた」という部分に一瞬「何だろう、不穏だな」と思うが、結句の「雪合戦」で幼少期の恋の一幕となった。
幼い心の屈折具合にキュンとする。
「確かに。台風の時はどこにいたんだろう」と疑問を持つ。
台風後に見かけたちょうちょに作者が呼びかけている句にも思える。
ちょうちょを心配する細やかさに、俳人の着眼点を感じる。
(まとめ)
俳句を鑑賞して文章にまとめることで、作者の着眼点の面白さを改めて感じた。
映画のワンシーンのような句もあり、職業が俳句に活きていると思った。
最後までお読みいただきありがとうございました。 もっと面白い記事を書けるように日々頑張ります。 次回もお楽しみに!