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最後まで伝えたい気持ち

自分は婚姻状態にある。20年くらい前から妻がいる
結婚して20年ともなるとお互いのことは会話せずとも
完全に理解はできないまでも把握している
変化に富んでいるとは言えない日常生活、ケンカもするけどうまくやっているはず
お互い、日々渋みばかりを増量し続けている、
どこにでもいる中年夫婦だ

相変わらずの日常に変化をつけたかったわけではないが
少し前からやり始めた習慣がある
それは、朝起きたら必ずハグすること、である
妻から私に向かってすることはない、必ず私からする
とは言え、妻はイヤイヤながらハグに応じてくれるわけではない
たまにはノリノリの朝もあったりする
今まで二人で外出する時も手を繋がなかった自分なのに
なぜ、新婚夫婦さながらの朝ハグがルーティーンとなったのか、それは。。。。

「五感の質屋」という話がある

心理学者のサイトで10年以上前に読んだ心理学ストーリー
なぜその話を最近思い出したかという経緯は
個人的に過ぎる事情になるので割愛するけれども
そのあらすじをかい摘むと…

ある男の10歳になる娘が不治の病を発症した
男は妻をその病で亡くしている、まさかと思ったが娘にも遺伝してしまった
現代医学では治る見込みがなく、寿命は一年
そんな時男が偶然なのか必然なのか見つけて入った『五感の質屋』
その質屋では男の味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚いずれか1つと引き換えに
娘の命を5年、伸ばしてくれるという
五感の全てを失ったら男自身の気が触れてしまうため
最大4つまで質入れできて、20年の延命ができる
20年の間に医学の進歩が間に合うのか、男はどう選択していくのか

というお話

ゆうきゆうの心理学ステーション 『五感の質屋』のリンクはこちら
第一話   第二話   最終話
第一話から第二話、第二話から最終話のリンクは貼られていないので
まず最終話に飛んでリンクされてる第一話から読み始めるのが良いと思う

さて、ここから先はネタバレというかストーリーに沿って展開していくので、
もしここまででこの話に興味を持たれた方は、リンクにとんでゆうきゆうさんの
サイトから五感の質屋を読んでほしい
15分から20分くらいで全部読めるはずだ
そして五感を失うというセンシティブな話なのでゆうきゆうさんのリンク先も、
ここから先の拙文も、読む読まないは当然自由だ
五感の質屋というショートストーリーに対する、エンタメに対する感想だと
思って読んで貰えればうれしい

感覚を1つずつ失うというより、男が最後に残す感覚は五感のうちの
どれでしょうかというのがこの話の要になっている

主人公の男は、愛する娘の寿命と引き換えに自分の感覚を1つ質入れ
しなければならない

まず、何を捨てる?

それを選ぶのは意外と簡単かもしれない、消去法を発動させよう
自分の常識で考えると、視覚と聴覚をまず最初に放棄する人間はいないと想像する
触覚は無くなったら温度もわからなくなるのか
するとなくても困らないのは………

男は質入れすべき感覚を選んでいく
残念なことに2つの感覚を質入れして10年経っても医学は驚くべき
進化を遂げなかった
男は2つ同時に感覚を質入れする、さらに10年の月日が……..

結論を言ってしまうと

男が最後に残した感覚は触覚だった

なるほど。

味覚と嗅覚は密接に関係している
匂いがわからないと味が掴みにくい
香りは明らかに味を補填する

視覚と聴覚もどちらかがないと困るな
弱っている自分の目の前に妻がいてニコニコしているのが見えても
その声が聞こえないと
影で何か悪く言われているのではと勘繰るだろう
耳元で妻が優しく囁いてくれても顔が見えないと
嘘かもしれない、本当はどう思っているのかと疑心暗鬼になりそうだ
想像にすぎないのだが自分が被介護対象になった時
自分なんかと卑下して自暴自棄になったりしないだろうか

そんな時、何もかもが信頼できなくなった時、人の暖かさを直に感じられるのは
人と直接触れ合うことのできる触覚なのではないか
他人の暖かい体温はきっと嘘をつかない
手を握りしめる強さで想いが伝わると思う
頬と頬を合わせたら幸せかもしれない
ハグは言葉より強いかもしれない
私も妻もそれぞれ今の体型(カタチ)を確認しよう

だから感謝の気持ちを込めて朝ハグを始めました

ハグするようになった経緯は妻には教えていない
言えるわけがないじゃないか
でも嫌がられない限りは続けようと思っている

今日もありがとう


の気持ちを込めて

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