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プロダクトには愛が必要だ

#PdMノウハウの最初のnoteです。最初の投稿はPdMとして最も大切だと思うことを題材にしたいと思いました。タイトルには「愛」とつけましたが、PdMとしてのマインドセットについて書きたいと思います。過去のnoteを読んでいただけている方は既知の内容も含みますが、できるだけ詳細に書きたいと思います。

読んでいただけている方のプロダクト創りにおける最も大切なことは何でしょうか。もし思いつきましたら、ツイートで発信してみてください。

なぜ、PdMとしてマインドセットが重要なのか。結論を書きます。

・急激にプロダクトがコモディティ化する世の中において、自分自身をアップデートし続ける
・チームメンバーの動きを円滑にし、100%の力を出せる環境を構築できるように伴走する
・マーケットの急激な変化に対応し、苦しい時期もチームを鼓舞して生き残る

これらの根底にはマインドセットがあると考えています。

成長の根底にはマインドセットがある

まず成長とは何かという共通の認識を持ちたいと思います。成長を簡単なモデルで説明しているのが「成長マインドセット」という本です。まだ読んだことがない方は是非とも読んでみてください。

この本の中で成長について説明しているのが「アイスバーグ理論」です。この理論を簡単に説明すると、一番下層の意識という土台がある人は行動や習慣など具体的なアクションを起こし、そのアクションによって能力が培われ、その能力によって成果をあげることができるというものです。

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この理論には「大きさ」という概念があります。同じ三角形だったとしても、プロ野球選手と草野球選手とでは大きさが異なるということで説明づけられるます。アイスバーグ理論では、成長とはアイスバーグの大きさを増やしていくことと説明されています。

具体的には、スポーツで表現するとわかりやすいかと思います。当たり前の話ですが、プロで活躍する選手の多くは幼少期から世界で活躍するプレイヤーになる、オリンピックに出場するなどの夢や、何よりも競技が好きなどのマインドがあります。そのマインドから習慣的に練習に励み、能力が培われていきます。天性のものもあると思いますが、練習をすればある程度の能力は付き結果として成果 (大会で優勝するなど) をあげることができます。単純な話ですが、これは仕事においても同様に作用します。

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もちろん、これはモデルですので全てが当てはまるわけではありません。周りからみてマインドがめちゃくちゃ高いのに成果を出せていない人、行動は粗暴なのにも関わらず高い能力で成果をゴリゴリと出す人などは存在します。再現性が高い成長のモデルとでも思ってもらえたらと思います。

今回の題材でモデルを用いたのは、PdMは変化を許容して成長し続ける役割だと思っているからです。

LINEのPMである二木さんのキャリアハックでは「LINEのPMとは”カメレオン”のように複数の人格を持つ職種であり、フェーズによっても人格の配分を変えなければならない」と書かれています。カメレオンと表現されているように、会社や組織、プロダクトのフェーズにおいて多種多様に自分を変化させていくことが求められています。最初から全てできる万能な人はいないですし、今までキャリアを積んで来た方であったとしても適応力無くして、この変化が激しくプロダクトがすぐにコモディティ化する時代は生き残れないのではと考えています。

プロダクトを成長させるために、何が必要で、その必要なものを補うためにチームをどうに導いていくか、自分はどんな役割をすればいいのか、そのために自分にはどのような能力や知識が足りていないのか、そのためにどう行動すれば良いのか?これを常に考えて行動し続けるためには、根底にあるマインドが重要だと考えています。

プロダクトマネージャーなら一度は聞いたことがある「INSPIRED」という本の第6章「プロダクトマネージャーの条件」で人間的な資質と姿勢として以下が書かれています。

1. 製品に対する熱意
2. 顧客との共感力
3. 知性
4. 仕事に対する倫理観
5. 誠実さ
6. 自信
7. 姿勢
優秀なプロダクトマネージャーは、どこの製品であっても、いい製品に大して愛情と尊敬の念を持っている。そして、そういう製品を創り出すために生きている。

プロダクトへの愛でプロダクトは成長するのか

自分が日本で最大の料理動画サービスのPdMをしている時に痛感したのは、マインドセットが高い、プロダクトを成長させたいと心から想うだけでは不十分だということです。想いから全てが変わるけれども、想いだけでは何もできないんだということを学びました。ただ頑張るだけではある程度の成果はあげられるかもしれないですが、大きな成果をあげていくためにはそれ相応の能力や経験を培っていくことが重要です。その能力についてはこの連載で取り上げていこうと思います。今回は「愛」にフォーカスします。

日本のプロダクトマネージャーでよく名前が出てくるのが及川さんですね。この記事を読んだ時に、及川さんでも愛という抽象的な言葉を使うのかとハッとさせられました。この記事の最後にはこう書かれています。

すべてはやはり愛と誇りだと思います。1人のエンジニアではなく、「プロダクト=大きい事業」で考えた時に、全員が自分の持っているもの、貢献できるものに対して誇りを持ち、愛を持てば変わると思います。そこに希望があると私は思います。

及川さんがおっしゃる「愛」とは何か。同記事にはこう書かれています。

プロダクト愛というのは、自分が作ったものが家族や友人、恋人などが困っていることをきちっと解決できて、「お前がこれを作ったのか、すごいね!」と言われたい。それがプロダクト愛です。自分で作った誇りです。

また、具体的なエピソードでも説明されています。

電車に乗っていると隣のお兄ちゃんがラップトップで仕事をしはじめたんです。見ると、ChromeでGoogle日本語入力を使っていて。「お前は俺の一番愛すべきユーザー像だ!」と抱きしめたくなるくらいで、僕はTwitterでそれをつぶやいたんですけど、こういう思いをいろんなところでできるはずなんです。

自分にも、自分が開発しているプロダクトを通して誰かの困ったことを解決できて感謝されたらなんとも言えない感情が湧き上がり、時には泣いてしまうくらい感極まることがあります。読んでいただいている方もそのような経験があるのではないかと思います。自分が心血注いで創っているもので、誰かの役に立てている、それは電車で居合わせたたった1人でもいてくれたら嬉しいですよね。もっと多くの人に自分のプロダクトを使って欲しい。そのためにどうすればいいのか?そんなきっかけでも良いと思います。

僕の考えるプロダクト愛の定義は「見返りを求めることなく、プロダクトの成長を常に考え、自分ごとのように向き合う姿勢」だと考えています。

エーリッヒ・フロム著「愛するということ」にはこう書かれています。文節を切り取ったものなので、文脈を知りたいという方は是非本を読んでみてください。

「人間のもっとも強い欲求とは、孤立を克服し、孤独の牢獄から抜け出したいとい欲求である。」
「愛とは、愛する者の生命と成長を積極的に気にかけることである。この積極的な配慮のないところに愛はない。」
「愛は能動的な活動であり、受動的な感情ではない。」
「生産的な性格の人にとっては、与えることはまったくちがった意味をもつ。与えることを通じて、私は自分の力、富、権力を実感する。この生命力と権力の高まりに、私は喜びをおぼえる。私は、自分が生命力のあふれ、惜しみなく消費し、いきいきとしているのを実感し、それゆえに喜びをおぼえる。」

これらを踏まえて、プロダクト愛の実践とは、プロダクトを通して他者との繋がりを見出し、孤独を克服しようとしている行為だと解釈しています。単純には「自分が創ったものが誰かに使われて、めっちゃ嬉しい」という感情が生まれてくることではないでしょうか。この他者貢献による喜びの感情はとても強烈です。より多くの人にプロダクトを通して価値を届けたい、世の中をより良くしたいと強く想うことを根底のマインドとして、ではそのために今何をすべきかを考えてひたすら行動する。プロダクト愛があるだけでは何も成し遂げることはできないですが、プロダクト愛があるからこそ、大変な時も辛い時も折れることなく進み続けられると考えています。

この記事ではノウハウを書き残したいので「自分が創ったものが誰かに使われて、めっちゃ嬉しい」を体験したことがない方は、ぜひ自分でプロダクトを何か創ってみてください。自分がゼロから創ったモノの方がベターかと思います。そして、その創作活動を全力をかけて行ってみてください。誰か一人でいいので、誰かの人生をちょっとだけでも変えてみてください。重要なのは、自分が見返りも求めず、自分の時間という限りあるリソースをどれだけ突っ込んだかだと思います。その結果として誰かの役に立てたという喜びは忘れることができないと思います。

終わりに

いつも言っているようなことをちゃんと言語化してみることを目指しましたが、結局いつもと同じような文章になってしまいましたw

毎週何かしら取り上げて言語化しようと思うので、一つの記事、一つの文章、一つのフレーズをきっかけに何かしらの役に立てたら嬉しいです。


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