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雅楽練習の座学~楽譜(2)奏法さしおいて唱歌メイン

龍笛の楽譜を見ると、カタカナと記号がセットで1行を成しています。

カナ譜・早6拍子・入破

カタカナがメインで、そこに記号が添えてあります。
*譜面写真は、見出し画像共に、「雅樂 龍笛譜」(天理教教会本部雅楽部編、天理教道友社刊)より。赤枠や鉛筆書きは筆者による。

私たちは、このカタカナを歌うことで、拍やメロディーを体に入れます。
この稽古を「唱歌」(しょうが)と言います。

唱歌は、先生から教わります。CDも市販されていますが、雅楽全曲はありません。

もちろん、実際の演奏では、このカタカナは歌いません(^^) 


演奏の質にとって、唱歌は極めて大切です。

笙・篳篥などとの合奏は、唱歌でイメージを合わせているからこそ成り立ちます。

龍笛単体としても、メリ・ハリ、音色の芯や明るさなど、唱歌の稽古を通じさまざまイメージします。


記号は、 どの穴を鳴らすかなどの、奏法が示されています。

龍笛の場合、穴の名前は、 次のようなものがよく出てきます。

テ(かん)
五の上の横棒がない(ご)
┴(じょう)
夕(しゃく)
中(ちゅう)
六(ろく)

奏法では、次のようなものも記されています。

セ(せめる)
由(ゆる)
動(どう、うごかす)

なお、現存する平安時代の龍笛譜(写本)には、カタカナはありません。記号だけです。

つまりこの譜面は、長い歴史のどこかで「奏法譜」から「唱歌譜」へ変わった、と受け取ることもできます。


余談になりますが、龍笛奏者は、神楽笛も担当します。古来伝わる「神楽」の譜面は、今でも記号のみです。

庭火笛譜 部分

「神楽歌譜(和琴譜付)」(東儀兼彦・監修、日本雅楽会・刊)より


*改稿し、内容を整理、情報を追加しました(2020年4月22日)



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