投資家Sの今週の注目銘柄 パイプドHD【3919】
皆様こんにちは、投資家Sと申します。
創業(1964年)半世紀を超える投資日報社が、毎週月曜・木曜に発行を行っております、”投資日報α”(月曜版)に”投資家Sの今週の注目銘柄”を連載しております。
7月中旬に入ってから、日本株のみならず、米国株の上値も重たくなってきました。
昨年3月のコロナショックで付けた安値から、株価はほぼ一本調子で上昇を続けて来ましたが、経済再開によって猛烈に伸びている需要に供給が追い付いておらず、物価の上昇と供給不足による経済活動の停滞を懸念して、景気回復のピークが早まる可能性が出てきており、足元の株価は景気の減速を織り込み始めております。
人間の活動には周期性(サイクル)がある事は世に知られており、経済学でも4つのサイクルによって景気循環が起こる事は知られております。
最も短いサイクルはキチンサイクルと呼ばれており、約40カ月(3年半)程度の期間となり、在庫変動に起因するサイクルと言われております。
次のジュグラーサイクルは約10年の周期で設備投資に起因する模様です。
3つめはグズネッツサイクルで約20年、住宅や不動産の建て替えや人間が成人するまでの期間に起因すると言われております。
最も長いコンドラチェフサイクルは約50年と言われており、産業の隆盛ないしは戦争によって発生するサイクルと言われております。
世界経済は、昨年3月~4月に景気後退に遭遇しましたが、前回世界的な景気後退が発生した2008年のリーマンショックから12年しか経過しておらず、コロナショックによる景気後退は、ジュグラーサイクルよりも短い周期での景気後退であった可能性が高いです。
昨今の供給不足によるインフレは、キチンサイクルによる在庫不足に起因している可能性が高く、直近の株式市場の景気回復ピーク懸念は、“あくまでも短いサイクルの中での調整”に過ぎない可能性が高いです。
今回のサイクルは、2000年にピークを付けて2002年に底を打った、ITバブルから20年となる2022年前後がボトムとなる可能性が高く、夏~秋に掛けて株式市場の下落が訪れる事となれば、最後の上げに向けた押し目を提供してくれる事となりそうです。
世界経済は拡大と縮小を繰り返しながら規模を拡大させて、経済成長の恩恵として株価を上昇に導いてきました。
筆者の見立てでは、今回の景気拡大サイクルは現在8~9合目程度と考えており、いつ山から下りるのかを見極める必要があります。
「コロナの収束は景気後退の始まり」を合言葉として、株式市場の行方を注視しておきましょう。
今回は、以前ご紹介したパイプドHD【3919】に株価材料が出た為、再度紙面で取り上げております。第1四半期の業績進捗から、今期2度目の上方修正が期待出来る状況となっております。
■パイプドHD【3919】
本欄2度目の登場となるパイプドHD【3919】は、企業のDX化を支えるクラウドベースのシステムを提供する企業。現在、足元の業績が急拡大している。
6月30日に発表された第一四半期の決算は、売上高は前年同期比33.1%増の19.3億円、営業利益は94.0%増の5.4億円となっており、売上・利益共に大幅に増加。業績好調の理由としては、前回本欄で記載した新型コロナウィルスのワクチン接種システム案件が好調に推移しており、また、金融業界を始めとした多くの業界でも顧客接点のオンライン化やDX化の需要が継続しており、期初段階よりも大幅な上振れとなった。
株価は決算発表翌日の7月1日にはマドを開けての上昇となり、昨年1月以来となる2,100円台を回復して年初来高値を更新している。 筆者は今回の業績上方修正はまだ始まりに過ぎず、3か月後に発表される第二四半期の決算でも修正後の数字を上振れする可能性は相当高いと考えている。
同社が発表した修正後の上期連結業績予想は、売上高36億円、営業利益7.3億円となっており、第一四半期時点の売上進捗率は53%、営業利益進捗は75%となっている。コロナ禍でビジネス環境が厳しかった昨年第二四半期並みの売上・営業利益を達成出来れば、業績予想に対して売上高で1.6%、営業利益は12.1%上振れする事となる。
新型コロナウィルスのワクチン接種は6月以降に本格化しており、レコード数によって課金額が増える同社の主力システム「スパイラル」の課金体系を考えれば、売上の伸びが続く可能性は高い。
結果として、修正後の計画でもまだ相当保守的であり、第一四半期と同水準の業績となれば、売上高38.7億円、営業利益10.9億円に到達。修正後予想から約50%の増益となり、上期時点でのEPS(1株当たり利益)は75円に到達、好調が期を通して続く事となればEPSは150円に到達する。
株式売却益を計上して純利益が過去最高となった、前期の利益水準とほぼ同額となり、株価は上値を追う可能性が高くなってくる。
継続的な収入が得られるプラットフォーム事業での成長性が評価されれば、同業他社との比較でもPER20倍は割高な水準ではなく、株価3,000円を超える可能性も充分にある。
現在の上昇はまだ始まったばかりであり、相場格言の“保合い放れにつけ”の局面となる。
なお同社については、個別銘柄レポート100バガーを探せ!で既に2度程取り上げている。銘柄詳細については同レポートをご覧下さい。【パイプドHD IR取材掲載】https://note.com/toushinippou/n/na225656c838e
(投資日報α 2021年7月5日号掲載)
(投資家S)
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▼櫻田 学氏プロフィール
トレース合同会社 社長
株式会社投資日報社 専務取締役
大学卒業後、2004年から証券会社にてFXの仕事に従事。
以後、14年間に渡り、営業・企画・トレーディングの最前線で活躍。
リーマン・ショック・ユーロ危機・Brexit等々の並居る大相場の中、裏方として市場の最前線で指揮を取り、FXの表も裏も知り尽くす。
2018年秋、11年間勤めたマネックス証券を退社して、暗号資産(仮想通貨)の交換業者となる、株式会社ディーカレットの立ち上げメンバーに加わる。
2020年5月に、相場道を究める為に同社を退職。
個人投資家として株式投資を行いながら、投資に掛ける時間が限られる兼業投資家の方に有益な情報を届ける為、株式について日夜分析を行っている。
日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA)
相場に対するモットーは、「利食いたくなったら乗せろ」
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