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大地震発生に備える震災関連銘柄への投資

 千葉県東方沖でのスロースリップによる地震の発生頻度が高まり、能登半島に続き関東での直下型地震の発生が懸念されるようになってきました。

 せっかく日経平均が4万円台に乗せ、ますます株価の上昇が続いているのに、これに水を差すリスク情報ですが、年初の能登半島での大地震とともにまた日本列島が震災大国でもある点に思いを馳せる必要があります。

 株式投資は上げているうちは良いのですが、一旦そのリスクを忘れると大変な出来事にもなりかねません。投資家が有頂天になったところがピークになり、何事もなかったかのような殺伐とした光景がそこに広がることもあります。
 特にやや冷静さを失った海外投資家が主役となっている現在において日本列島に予期せぬ震災リスクがあることは重々承知の筈ではありますからその備えも怠りはないでしょうから、これまでとは180度違った手の平返しもあることも念頭に入れて頂く必要があります。

 ここに来ての日経平均4万円台乗せ、TOPIX2700ポイント超えからの展開では絶えず備えが必要となります。

 その一つは震災に備える意味で過去の株式相場で時折活躍を見せてきた震災関連銘柄となります。
 能登半島での地震発生に続き、それとは比べようもない関東での首都直下型地震の発生が今回のスロースリップによる群発地震の多発が引き金となる可能性が指摘される中ですので、ここは一定のヘッジをしておく必要があります。
 実際には各自の震災への備えができないのと同様に投資家の皆さんにもどうしたら良いのかと言われそうですが、結局それは日本株への投資の比率を下げて米国株の比率を高めるなどの措置しか考えられないとの結論に至るのかも知れませんが、一つは東日本大震災での教訓から建設土木銘柄、セメント株、仮設住宅、地方銘柄などにも分散しておくことぐらいしか対応の方法がないとも言えそうです。

 市場内では既に生成AI半導体だけでなく鹿島などの大手ゼネコン株、海洋土木の東洋建設、セメント首位の太平洋セメント(5233)など比較的好業績の震災関連銘柄が密かに評価を高めつつありますが、運用上のヘッジを兼ねてこの流れの銘柄にも投資しておきたいところです。


【参考銘柄】


1.三協フロンテア(9639・P)

 時価4280円
 柏市に拠点を置く仮設ハウスメーカー。
 工場は茨城、新潟、つくばなどに分散。
 時価総額500億円、
 今3月期予想営業利益76億円。
 直近高値5790円(21.11)から26.1%下落した株価水準。
 予想PER9.9倍 PBR1.12倍 配当利回り3.74%


2.カナモト(9678・P)

 時価2871円
 北海道に拠点を置く全国規模の建機レンタル企業。
 半導体工場建設にも絡む。
 2014年高値4905円から10年経過。
 8月末まで自己株上限90万株、上限20億円の取得を図る。
 うち2月末までに41.3万株、11.75億円分を取得。
 時価総額1035億円、今期予想営業利益141億円。
 予想PER12.4倍、PBR0.77倍、配当利回り2.61%


3.サンコーテクノ(3435・S)

 時価1346円
 日本有数の人口増加自治体、千葉県流山に拠点を置くコンクリート固定ネジ大手。
 施工アンカーのトップ企業で業績は着実に成長。
 今3月期予想営業利益19.5億円に対し3Qの営業利益は15.6億円で進捗率は80%。
 時価総額106.3億円。
 今期はM&Aによる負ののれん代(3億円)が特別利益として発生し、EPSが210円(負ののれん代除くと実質173円)とイレギュラーに膨らむ見通し。
 予想PER6.3倍、PBR0.65倍、配当利回り2.45%。


4.萩原工業(7856・P)

 時価1507円
 岡山県倉敷市に本社を置く災害時に活躍するブルーシートメーカー。
 コンクリート補強繊維など震災関連手掛ける。
 合成樹脂製品などのグローバル事業展開(世界13か国)を推進。
 前10月期の営業利益19.8億円(+43.7%)から今期も22億円(+11.2%)と利益拡大見込む。
 時価総額206.7億円。
 3月26日にアナリスト協会主催の個人投資家向けIRセミナーに参加予定。
 今期予想PER12.9倍、PBR0.74倍、予想配当利回り3.3%。


5.前田工繊(7821・P)

 時価3485円
 能登半島の近く福井県坂井市に本社を置く河川や道路補強等の防災用建築・土木資材メーカー。
 2007年の上場以来着実な成長を遂げてきた。
 利益成長を意識しており、M&Aにも熱心。
 社会インフラ向け好調、欧州向けタイヤホイール堅調で今期の予想EPSを194円から224円へ上方修正し株価の上昇傾向辿る。
 時価総額1058億円、今6月期予想営業利益101億円、予想PER15.6倍、実績PBR2.29倍、配当利回り1.15%。


6.日創プロニティ(3440・S)

 時価964円
 福岡と福島の2工場体制。住宅建材、屋根材、床材、パネルなど様々な金属加工製品がメインだが、災害時のソーラーネオポートなども手掛ける。
 M&Aによりゴム、タイル、木材などに加工領域を拡大中。
 加工の総合商社を目指しており、今期の業績はM&A効果で1Q段階において大幅に上方修正され株価もそれに反応して上昇したが高値1116円からはやや調整含み。
 グループ入りした宮崎を拠点にした天神製作所では災害用シェルターも開発販売している。
 木材加工のマルトクをグループに加え、様々な素材を効率的に生産する体制を構築。今期下期からの業績貢献を想定。
 今期予想営業利益11.8億円に対して時価総額は63億円、予想PER7.7倍、PBR0.56倍、配当利回り3.1%。


(炎)


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