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バリュー&グロース銘柄発掘情報【バリュー】丸紅(8002) 2021/12/07


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---------------------------2021/12/07

       バリュー&グロース銘柄発掘情報 第19号

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 プロフェッショナルの執筆者を中心に、グロース銘柄&バリュー銘柄を毎回1銘柄発掘してレポートする内容です。
 毎月第1第3火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


■はじめに
■【バリュー】丸紅(8002) 客員アナリスト 水島寒月


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


【バリューグロース銘柄プロジェクトより】

 当サービスは、金融のプロフェッショナルを中心とした執筆者が、その時々の注目銘柄の中からバリューもしくはグロースの企業をピックアップし、分析するものです。
 スタンスは中長期投資です。
 ぜひあなたの株式投資ライフにお役立てください。


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■【バリュー】丸紅(8002)

【会社概要】

◆沿革


 同社は総合商社の一角ですが、伊藤忠商事(8001)と源を同じにする会社で、「近江商人」の系譜を受け継ぐ会社と言えます。

 江戸時代末期の1858(安政5)年、近江国(現滋賀県)で初代伊藤忠兵衛が麻布類の卸売業を創業、大阪経由で泉州(現大阪府)、紀州(現和歌山県)へ初めて麻布の持ち帰りを開始しました。
 1872年、大阪本町に呉服太物商の店「紅忠」開店。
 1914年、伊藤忠合名会社を設立。
 18年に伊藤忠商事、伊藤忠商店に分割。
 21年、伊藤忠商店と伊藤長兵衛商店が合併して丸紅商店設立。
 41年、丸紅商店、伊藤忠商事及び岸本商店が合併して三興設立。
 44年、三興と大同貿易及び呉羽紡績が合併して大建産業を設立します。

 戦後の49年には、大建産業が過度経済力集中排除法の適用を受け4社に分離した際、丸紅として再発足します。
 50年、大阪、東京両証券取引所に株式を上場。
 55年、丸紅と高島屋飯田が合併、商号を丸紅飯田に変更。
 72年、再び商号を丸紅に変更しています。

 伊藤忠商事が戦後、「祖業」の繊維をはじめとする生活消費関連分野を中心に業容を拡大したのに対し、丸紅は資源分野を含め、比較的バランスのとれた事業ポートフォリオを形成します。
 現在、強みを持つ分野は、資源・エネルギー分野で銅や鉄鉱石、石炭などの上流権益、食料で穀物分野、海外電力事業、紙・パルプなどが挙げられます。


◆「収益構造改革」の歴史


 総合商社各社は、15/3期~16/3期に多額の減損損失の計上を余儀なくされるなど、収益構造改革を余儀なくされます。それまで高い経済成長により、資源価格の上昇などを牽引してきた中国の実質GDP成長率のスローダウンにより、中国の需要拡大に依存した事業ポートフォリオの見直しを迫られたわけです。

 同社の15/3期の連結純利益は、前期比49.9%減の1056億円と低迷。資源市況の悪化などに起因する減損損失など一過性の損失1250億円の計上が主因です。

 セグメント別では、大口の一過性の損失が発生した食料、エネルギー、金属において損益が大幅に悪化。食料は、米国子会社ガビロン(穀物商社)の業績が14/3期に続き当初の事業計画を下回る見込みとなったことで事業計画を見直し、のれんの回収不能見込み額に関し、固定資産評価損を計上。
 また、エネルギー、金属では、市況の下落に伴い、保有権益などの固定資産の減損損失を計上しました。
 輸送機、電力・インフラ、情報・金融・不動産など非資源分野は好調でしたが、補えませんでした。

 続く16/3期の連結純利益も、前期比41.0%減の623億円と大きく落ち込みます。3Qまでは増益基調でしたが、4Qに資源分野中心に大口の減損損失を計上。16/3期を通じて計上した資源分野の減損損失は1400億円に達しました。

 17/3期以降、連結業績は回復をたどりますが、20/3期に至り、純損益は1975億円の大幅赤字に転落します。新型コロナの感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞、資源市況の急激な下落などの影響で、4Qに減損損失を含む一過性の損失3940億円が発生したことが主因です。

 主な減損損失の案件を列挙しますと、石油・ガス開発事業(米国メキシコ湾、北海油田など)で1313億円、米国穀物事業で982億円、チリ銅事業で603億円、海外電力事業およびインフラ関連事業で457億円などです。
 厳しい結果を余儀なくされましたが、これらの処理により、既存の投資案件の簿価は大幅に引き下げられました。コスト構造が大きく改善したわけです。

 続く21/3期は同業他社がコロナ禍で業績の低迷を強いられるなか、同社の連結純損益は2253億円の黒字に回復します。22/3期も好調を維持しており、会社側はこれまで「財務基盤の強化に専念する」として手控えてきた自社株買いの実施を検討するとしています。

 今後の中長期的な収益改善に期待したいと思います。


◆事業概要


 21/3期の連結ベースの売上構成比(外部顧客からの収益)は、ライフスタイル2%、情報・不動産6%、フォレストプロダクツ4%、食料21%、アグリ事業45%、化学品7%、エネルギー7%、金属5%、電力3%、インフラプロジェクト1%未満、航空・船舶1%、金融・リース事業1%未満、建機・産機・モビリティ5%、次世代事業開発1%未満と多岐にわたります。

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