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#29 ギフト(9279) 2019/10/08

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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第29号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


    ■はじめに
    ■ギフト(9279) 客員アナリスト 檜垣慶太


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガがスタートしました。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。

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ギフト(9279)


「その地域になくてはならない店になれ」

 今回取り上げるのはラーメン店事業を展開する株式会社ギフトです。

 「家系ラーメン」と言われるジャンルは全国に1000店を超えると言われますが、そのうち300店舗ほど(推定)がギフト系と見られています。
 同じく豚骨系ラーメンで上場している「丸千代山岡屋(3399)」が99店舗であるのでおよそ3倍の規模を誇ります。博多ラーメンの一風堂を展開する「力の源HD(3561)」は国内58店舗です。

 ギフトは2019年4月より新工場が稼働し、生産能力が1.5倍となり、更なる出店攻勢を仕掛けようとしています。この店舗展開の原動力はどこにあるのでしょうか?

 その秘密を探ってみたいと思います。

【会社概要】


 今となっては世界各地で日本のラーメンが食されるほどの大人気ですが、本格的にブームとなったのは1990年代からではないでしょうか。
 環七通り沿いのラーメン店には深夜でもラーメン屋を目指す車の大渋滞が話題となるくらい人が溢れかえっていました。
 1994年には新横浜ラーメン博物館が登場し、福島喜多方ラーメンをはじめ、福岡の一風堂や横浜の六角家など全国的なブームとなっていたことが伺えます。

 今や国内3万店を超えるラーメン屋の数ですが、ラーメン直営店のみで大展開をした屋号は少なく、リンガーハットがショッピングモール中心の展開で直営400店舗運営する以外は、直営店は100店舗弱であることが稀で、ほとんどはFC展開となります(幸楽苑、日高屋は中華食堂の傾向が強いので除外している)。
 直営店展開の成功例は非上場の「天下一品ラーメン」(230店舗)または「一蘭」(82店舗)でしょうか?

 両者ともに共通点がいくつかあります。そしてこの共通点はギフトにもいくつか当てはまります。

 ポイントは
 1.創業者の味への葛藤
 2.工場製造による味の均一化
 3.立地の強み
 です。

 特徴的であるのは、天下一品ラーメンや一蘭、一風堂などは独自の味を貫き通してブランドを築き上げましたが、ギフトは企業体としてのバランスを取りながら、最適解となる味を戦略的に開発している点です。おそらく創業者である田川社長の葛藤の中から生まれた戦略なのでしょう。


 ◆創業ストーリー

  株式会社ギフトの創業者、田川翔社長は1982年生まれでそんなラーメンブームとともに幼少期を過ごしました。
  学生時代から起業願望が強く、「美味しいラーメンを作れれば繁盛店を作れる」と考えたのがきっかけだったそうです。
  そこでいろんなラーメン屋を食べ歩いた結果、横浜らーめん「壱六屋」で6年間修業し、「この味を出せたら成功するな」と思い、独立して町田商店の一号店を出店します。
  ラーメン職人として自分の味には自信があったので、オープンしたらすぐに大行列・・・と思っていたそうですが、現実は違いました。スープにこだわりが強すぎて、自分の納得できない味の日はお店を開けない日もあったそうです。一週間のうち3日閉めてしまうこともあったそうで、従業員に給料を払うのも苦労したそうです。
  一人の経営者としての転機を迎えたのはその頃だったといいます。
  製法にこだわり過ぎるよりも、毎日安定したラーメンを提供しようという方向に変わったそうです。
  売上や数字も気にするようになり、軌道に乗ったのはオープンして一年過ぎたあたりからで、この頃から工場でスープを作り味を均一化出来ないか思案していたそうです。
  工場でスープを作るにはロットが必要です。つまり店舗の数が必要なわけですが、その方向で始まったのがプロデュース事業になります(以下PD、後述)。
  町田商店開店後、垂直に立ち上がったのがPD事業でした。
  初期は直営店の展開が年一店舗程度であったのに対し、PD店は100店舗と急拡大します。この展開によりスケールメリットを得ることになり、直営店の展開も加速していくことになります。

  現在直営店84店舗、PD店358店舗を展開しています。
  店舗数はPD店の方が多いですが、売上構成比は直営80%、PD20%となっています。


 ◆事業

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