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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」日本フイルコン(5942) 2016/02/09

※このレポートは2016年2月に作成されたものであり、企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。


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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

  ◇銘柄研究 日本フイルコン(5942)
  ◇コラム 投資家にとって『欲望』はアクセル、『恐怖』はブレーキ


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◇銘柄研究 日本フイルコン(5942)


 本日は、1916年(大正5年)創業の製紙用ワイヤー、電子部材、フォトマスクの製造と、不動産賃貸事業を主力事業とする日本フイルコンを、研究銘柄として取り上げます。


 日本フイルコンは、製紙用ワイヤー(抄紙網)の自給を目的に、主要な国内製紙会社からの出資により創業した企業です。1916年以来、世界一高度な品質を要求される日本国内産業界からの要請に応えて、各種素材に物理的・化学的な加工を施す技術の研鑽と適応領域を拡大してきました。

 日本フイルコンは、2016年に創業100年を迎えます。激動の1世紀を生き抜いてきた企業です。
 現在は産業用機能フィルター・コンベア事業、電子部材・フォトマスク事業、環境・水処理関連事業、賃貸不動産事業を主力事業として、各種機能性資材と生産材を供給する企業グループへと成長しています。


 今日のコラムにも書きたいと考えていますが、日銀の導入したマイナス金利も効果も、一瞬で終わり、またドル円相場が円高に振れるとともに、日本株も下落を再開してしまいました。

 いずれ行きすぎた下落は終わってリバウンドがスタートすると思っていますが、信用取引などを利用した投資家の破綻などの余波を受けて、ほとんどの企業の株価が大きく下げています。
 含み資産を膨大に保有するPERが10倍未満(=1ケタ台)で、PBRが1倍未満の配当利回りや、配当優待利回りが3%どころか、日本フイルコンのように、配当優待利回りが5%に近付いていく資産の割安株も増えてきました。

 しばらくは、日本株の下落相場が続いていく可能性が高いので、5万円以下の投資額で、時間を変えた分散投資が行いやすい日本フイルコンのような資産の割安株を研究銘柄に選ぶことにしました。


 どの銘柄を研究銘柄にするか迷っている時に、ゆうちょ銀行から年金をゆうちょ銀行で受け取る人に、1年定期預金の金利を0.1%上乗せして、0.135%にするので預けませんかというセールスの電話がかかってきました。
 ゆうちょ銀行では定期預金ではなく定額貯金を利用しているので、3年以上預けても金利は0.04%にしかなりません。

 『優遇金利は1年間だけですが、日銀のマイナス金利の政策で、いまの金利が来年には、さらに低くなるかもしれないから、ぜひ今回の金利優遇をご利用ください。』というセールスには、なかなか説得力がありました。

 どう比較してもこの優遇を使わないのは勿体ないと考えました。しかし配当利回りや、配当優待利回りが軽く3%を超える企業の株が、今回の株価の下落でいくらでも見つかるようになっています。


 確かに日本の企業の株は、まだまだ下落しそうですが、時価総額の2倍以上の価値を持つ不動産を持つ企業で、日本フイルコンのように日本の中にはライバル企業が少なく、日本国内シェアが60%というような製品を作っている企業なら、赤字になることはまず無いだろう。また、仮に1年や2年くらい赤字になっても、過去100年の時間をかけて積み上げてきた資産が無くなるには50年から100年はかかるはずだと思いつきました。

 いま定期預金や定額貯金に預けている資金は、サラリーマンをやめた10年前から一度も解約せず使ってこなかった資金です。そして、これから10年以上使う予定のない資金でもあります。本当にゴマのような小さな金利しかつかない銀行などに預けておいて良いのだろうか。もう一度考え直すきっかけを与えてもらったゆうちょ銀行のセールスでした。


 日本フイルコンは、各事業のコア領域において、高品質かつ革新的な製品およびサービスを供給できる『アジアのリーディングカンパニー』を目指し、新たな時代に向け、一歩先行く製品開発を模索しながら、更なる進化と成長を加速していく努力を積み重ねている企業です。

 日本フイルコンの主力製品である製紙用ワイヤー(=網)は、私たちの生活に欠かせない「紙」の誕生を左右する産業資材であり、その日本国内シェアは60%を超えています。


 今ではあまり耳にしなくなりましたが「紙は文化のバロメーター」という言葉がかつて言われていました。日本フイルコンのワイヤー(網)は、まさしく、紙を支えて文化の創造と社会の発展に寄与してきました。

 また日本フイルコンは、近年には紙関連技術の応用で不織布生産工程へ展開し、不織布用途の製品開発、販売強化にも取り組み、顧客より高い評価を得ています。


 一方、半導体製造に欠かせないフォトマスクや、精密部品を作る際に必要なエッチング技術なども手がけており、とくに大型タッチパネルセンサーフィルムに注力しています。

 さらに、吸着材によるレアメタルの回収、消臭材としての製品開発も進めています。


 現在、日本フイルコンの主要取引先である日本の製紙業界は、大きな転換期にあります。こうした中、日本フイルコンは紙の生産量が拡大している東南アジアをはじめとする新興国での販売力強化を進めているところです。


 時代の変化をチャンスととらえ、グローバルな資材調達や海外生産拠点の強化を通じて、ビジネスの拡大につなげることを狙っています。


 まず、日本フイルコンの主力製品である「抄紙網(ワイヤー)」について説明します。


 紙の生産工程を一言で述べるならば、木材(又は古紙)を水と薬品でパルプ液を作り、網の上で濾すことで紙は作られます。昔は手漉きが主流でしたが、現代では「抄紙機」という機械で連続的に製造されています。その抄紙機で紙を抄くために使われる網を「抄紙網(ワイヤー)」と呼んでいます。

 紙は「文化のバロメーター」と言われてきたように、人類の歴史に重要な役割を果たしてきました。

 中国で蔡倫が紀元2世紀に発明した紙は、610年頃聖徳太子が摂政をしていた時代に日本に伝えられました。

 日本に渡った紙漉法は、その後、独特のいわゆる”和紙”となり、日本では、明治時代が訪れるまで、紙=和紙と言う状況が続きました。

 一方、日本に遅れ12世紀になって製紙術の伝わったヨーロッパでは、近代国家形成に相まって紙の需要が増大し、1798年には連続生産可能な機械式の製紙術が発明され、現在一般的に言う紙=洋紙が生産されるようになりました。
 日本においては、明治維新の後、1874年にイギリスより輸入した抄紙機により、洋紙の生産が開始され、現在日本は世界第3位の紙の生産国となっています。

 そして、この世界第3位の生産量を誇る日本の製紙産業を支えてきたのが、日本フイルコンの抄紙網です。

 新聞、印刷・情報、包装、衛生用紙や段ボールなど、「紙」は社会生活を送る中で欠かせないものとなっています。

 今日、抄紙網はプラスチック製が主流となっており、日本フイルコンでは、ISO9001を取得するなど、より高品質のプラスチック製抄紙網の製品製作に取り組み、独自の製品コンセプトのもと、たゆまぬ研究開発を行なっています。


<日本フイルコンの業績の推移>

日本フイルコンの経常利益の推移は以下の通りです。

2011年11月期 1015百万円
2012年11月期   72百万円
2013年11月期 1161百万円
2014年11月期 1466百万円
2015年11月期 1576百万円
2016年11月期予1400百万円

純利益(カッコ内は一株利益)を続いて確認します。

2011年11月期  532百万円( 24.07円)
2012年11月期▲1395百万円(▲63.05円)
2013年11月期 1134百万円( 51.28円)
2014年11月期 1182百万円( 53.81円)
2015年11月期 1529百万円( 70.03円)
2016年11月期予1200百万円( 54.95円)

※2015年11月期は、特別利益に退職給付制度改定益499百万円を計上したことなどにより大きな増益となりました。

日本フイルコンの業績ハイライトのページ
http://www.filcon.co.jp/IR/highlight/highlight.html

 まず、本日の研究銘柄として日本フイルコンを選んだ理由を説明します。


1.日本フイルコンは、低PBRかつ低PBRの企業であること。

 日本フイルコンの2月5日の終値は442円です。

 日本フイルコンの2016年11月期の一株利益予想は54.95円です。

 日本フイルコンの一株純資産は763.36円です。

 2月5日の終値442円で計算したPERは8.1倍、
 PBRは0.58倍です。

 PERは10倍未満、PBRは1倍未満と投資指標的に割安です。


2.日本フイルコンは、創業100年と歴史が古いため、含み益が大きな賃貸不動産や自社使用の土地を大量に保有していること。

 日本フイルコンの時価総額は、2月5日の終値442円(⇔21,915,048株)で計算すると96.9億円です。

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