見出し画像

有料メルマガライブラリから(519)「権利落ち前の大きなマイナス要因がIRされた高配当優待利回り株は、いつの時点で投資判断をするのがベターなのか」

 有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。


=コラム「権利落ち前の大きなマイナス要因がIRされた高配当優待利回り株は、いつの時点で投資判断をするのがベターなのか」=
 (有料メルマガ第65回・2010/3/23配信号)

※2010年3月現在の内容です。留意してお読み下さい。


【前略】


 最初にも書きましたが、常和ホールディングスに投資するかどうかは別として、投資家心理を想像して、権利落ち後の株価の動きを予測しておく。そして実際に株価の推移を確認しておく。もちろんすべての銘柄が、常にまったく同じような株価の動きをするかどうかは分かりません。銘柄によっても、投資環境によっても株価の動き方は違うと思います。しかし今後、別の銘柄で同じようなことが起こった場合の投資の参考にするために、常和ホールディングスの動きを今回フォローしておくことは意味があると考えます。
 投資家心理を予想するための題材としてはとても良い企業だと考えて、コラムに書くことにしました。


 私も高配当銘柄や、高配当優待銘柄に投資していて、権利落ち前に大きな悪材料がでた経験を何度もしています。

 そのとき私が考えて、判断間違いから痛い目にあった経験に基づいて、投資家の心理を考えてみようと思います。本当に平凡な投資家である私の思いは、普通の多くの投資家さんと、ほぼ同じだと思います。しかしあくまでもこれは私の予測で、必ずそうなるとは限りません。参考意見として読んで、実際の株価の推移と比べてみてください。

 特別損失のIRが出た時点では、私のような普通の投資家は、まず腹を立てると思います。
『ハウステンボスがらみの損失などはもっと早くから分かっていたはずだ。それなのに2010年3月期の決算期末が来る直前にIRするなんてひどい会社だ。すぐ売ろうか。でも3月配当20円と一株あたり30円に相当するUCギフトカード、更には優待割引券5枚の金銭換算15000円分の権利を放棄して、更に売却損を出すなど悔しくてできない(石川の場合はホテルに安く泊まれる優待については、利用価値があると考えています)。
 とりあえず損切りしないで、株価の推移を見守ろう。それほど株価が下がらなかったら、配当や優待の権利を確保してから、さっさと売って縁切りをしよう。』
このように考えると予想しました。

 たぶん上記のように考えて、株を売らない投資家さんは沢山いると思います。もし手放すなら、株価が下がらないうちに損切りしておくべきだと考えます。
私の経験では、権利落ち後まで持ち越すと、配当や優待の金銭換算額以上に大きく下落することが多かったです。

 過去に何度も上記のような投資判断をして、権利落ち後の大きな株価下落でとても痛い目にあっているので、今ではこのように考えています。もし権利落ち前に売らない場合は、どんなに株価が下落しても持ち続けるほうが最終的な結果(=運用成績)は良かったです。

 もし、常和ホールディングスのような安定的な成長を期待できる高配当優待利回り企業でなければ、私なら即断で損切りしたと思います。このような投資家、すなわち権利落ち前に損切りすることを厭わない投資家でも、あまりにも大きなインカム・ゲインに引きずられ、迷い、損切りのタイミングを失った投資家は、かなりいるのではないかと想像しています。だから少ししか株価が下がらないで、すぐに株価は持ち直してIR前の水準まで戻したのだと考えています。


 ただ、権利を取ったらすぐ売ろうというような投資家が沢山いると、どんなに資産背景が良く、本業の業績が安定的に伸びている低PERかつ低PBRの高配当優待の企業でも、マイナスのIRが出て、付和雷同型の投資家が、あるタイミング(=今回は権利落ち後)で、いっせいに投売りしてくると、株価はとんでもない安値まで下落することもありえます。

 例えば、低PERかつ低PBRのシイエム・シイの事例を見ておきたいと思います。以下の決算短信が発表された時点から、大きく投売りされました。確かに2009年9月期の一株利益407.84円に対して、2010年9月期の一株予想利益が250.18円というのは、大きな減益です。しかし一株純資産は3321.91円であり、2100円でもでもPER8.4倍で、PBRは0.63倍です。それなのに株価は半分近くの1272円まで一気に下落して、PER5.1倍。PBR0.38倍まで売り込まれました。

 配当は2009年9月期40円から2010年9月予想60円と、1.5倍の増配予想になっていても株価の下落を止めることができませんでした。

 しかし、いったん大きく下落しても、売りたい投資家がすべて売り切れば株価は回復基調に戻り始め、ある時点からは一気に戻していくことも良く起こります。シイエム・シイの株価も戻し始めています。
 過去の研究銘柄で取り上げたトウアバルブグループ本社や、上村工業なども、株価が大きく下落しても1年もたたないうちに株価は回復してくれました。上村工業を研究銘柄として取り上げた時点が、ほぼ株価の大底であったことは、とても幸運だったと思っています。

 もちろん、常和ホールディングスの株価が、シイエム・シイや上村工業やトウアバルブグループ本社のように投売りされて大きく下がるかどうかも分からないし、底を打ったら大きく戻すかどうかも、誰にも分かりません。

 しかし、大きく下がる可能性があるならば、そんなリスクを取る必要は無いと考えます。そして投資するに値する企業だと考えたならば、実際に株価が大きく下落した場合は、下落した時点で、投資するかどうかを判断して、決断すれば良いと考えます。

 もし期待通りに株価が下がらなければ、しばらく様子見をして、2010年3月期の決算短信が発表されて、賃貸不動産の含み益が開示される直前か、または開示された後から、投資判断をするのが、一番リスクの少ない投資行動だと考えます。

 一番最悪な投資行動は、上記の特別損失の出た直後に損切りを実行したのに、株価が戻してきたので、あわてて買戻しをかけてしまう。そして売値より高く買い戻したために、権利落ち後に株価が大きく下落して、配当と優待の金銭換算額以上に大きな含み損を抱える。そこでまた泣く泣く損切りする。しかし投げたときが大底で、株価が反転していってしまう。
 くれぐれもこんな目にあわないためにも、リスクが高い投資は避けておくべきだと考えて、本日のコラムの内容としました。

【後略】


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


■□この有料メルマガの全文が読めます!

 常和ホールディングス(3258)研究銘柄レポート+コラムの構成です。
 同社はユニゾHDに社名変更した後、EBO(エンプロイー・バイアウト:従業員による買収)により上場廃止しました。参考として無料公開いたします。
 以下のリンクからどうぞ。

  こちらから ⇒ http://bit.ly/rin20100323


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?