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ダイバーシティとフルーツポンチのような世界について

皆さんはじめまして。
今回は横井さんからバトンを受け取りましたOkuが担当させていただきます。
女性活躍推進やダイバーシティ推進の仕事をするなかで学んだことをつらつらと書いております。
長くなりましたが最後までお付き合いいただけますと幸いです。

『ミックスジュースではなくてフルーツポンチのような世界』
どこで見たのかどこで耳にしたのが全く記憶がないのですが「これが私が実現したい世界だ」とスマホにメモをしていた言葉です。

自己紹介

インフラ企業の総合職の10年目、現場仕事や人事を経て現在は主に広報や総務業務を担当しています。いわゆる「大手企業の総合職」としてのキャリアを歩んできており、現場での深夜業務や1年スパンでの異動、想像もしなかった業務を担当するなど、多くの職場を渡り歩いていく中で浅く広く様々な経験をしてきました。

女性活躍推進とダイバーシティ推進

入社して以来1年スパンで担当業務が変わるなか、唯一複数年担当し、力を入れていた業務は女性活躍推進やダイバーシティ推進に関わる業務です。育児だけでなく病気や介護等と仕事を両立する社員の制度相談を受けたり、女性社員を対象としたキャリアセミナーを開催するなどさまざまな取り組みを進めてきました。

この仕事を通して多くの社員と対話をし、多様な価値観に触れたことで私の視野は大きく広がりました。

育児との両立といっても生活の状況は多種多様、介護や治療との両立となるとより状況が複雑になったりします。人生経験の少ない私には想像もつかないような状況の方も多く、全員が働きやすい制度設計・運用をするのは難しいなと実感しましたし、働く意味や働き方、働くモチベーションは人によって全く違う、人は多様であると痛いほど感じた数年間でした。

両立支援と特別扱い

女性活躍推進もダイバーシティ推進も一筋縄ではいきませんでした。
私の勤める会社は男性9割の組織。さらには昭和な体質が抜けきれていないためか、良くも悪くもあらゆる場面で「全員一緒、平等」が尊重されます。ダイバーシティとは正反対の考え方です。

例えば、女性活躍推進に取り組んでいると多くの男性社員から「女性優遇だ」「男女差別だ」と言われ、女性だけを対象にした研修を主催した私自身が、男性社員から男女の分断を生むセクハラだと訴えられたこともありました。(研修の趣旨を丁寧に説明し納得してもらえましたが、なぜ訴えられたのか今でもモヤモヤします)

また、女性社員から仕事と育児の両立が職場で理解されないという相談をよく受けていましたが、よくよく話を聴くと、職場の課題だけじゃなく相談してきた社員にも改善点があると感じることが多くありました。「育児をしている私は特別扱いされるべき」という前提で難しい問題を投げかけてくるのです。
そういう方に出会うと前者のような「どんな場面でも平等」を主張する人の想いも分かるような気がしてしまいます。

お互い「支援」と「特別扱い」の線引をしっかりして、本人も周りも力を発揮できればいいのですが、それを全ての人に理解してもらうのは険しい道のりで、マネジメントの難しさを実感しました。

フルーツポンチとの出会い

そんなこんなで悩みは尽きず、試行錯誤を繰り返すうちに、「多様性って何だろう」「女性活躍推進の取り組みは本当に必要なのか?」「これまで通り全員を平等に、誰に寄り添うことをやめればうまく組織は回るんじゃないか」という考えに至ってしまった瞬間がありました。

そんな時出会ったのが冒頭でご紹介したフレーズです。

『ミックスジュースではなくフルーツポンチのような世界』

このフレーズに出会った時、多様性を認め受け入れ、全員が活躍できる組織を作ることは不可能ではないと前を向くことができました。

ミックスジュースとフルーツポンチに使う果物は同じもの。
ミックスジュースはそれぞれの果物を砕いて潰して混ぜ合わせることで作られたもの。調理前の果物は全く別のビジュアルへと生まれ変わり、完成したジュースの味は均一です。
フルーツポンチはそれぞれの果物が原型をとどめたままシロップと混ぜられ、ひとつの美味しいスイーツとして作られたもの。同じお皿の中にあっても、食べる果物によって当然味は違います。

どちらもとても魅力的で美味しいものであり、どちらが優っているとか劣っているとかではない。同じ材料であってもそれぞれ目指している完成形が違うだけなのです。

ちょっと飛躍してしまいますが、果物を人財、組織を器に見立てて、企業をミックスジュースやフルーツポンチに例えて考えると、私の頭はスッキリとして思考のスパイラルから抜け出すことができました。

「平等を追求することが間違っていて、多様性を受け入れることが正しい」
「平等を追求することが正しくて、多様性を受け入れることが間違っている」
という議論ではなく、目指すゴールが違えばその過程も違ってくるということに気がついたのです。

さいごに

これまでの日本の多くの企業はミックスジュースだったのではないでしょうか。
それが正解か不正解かではなく、その時そこにある果物たちをミックスジュースにしたほうが美味しく味わうことができる環境が揃っていたからミックスジュースのレシピが選ばれたのだと思います。

そして、これからの時代はフルーツポンチを作るほうが誰もが美味しく果物を味わうことができるのかもしれません。
「女性活躍推進」や「ダイバーシティ推進」に取り組む中で多様な個人を受け入れ、それぞれの良さを発揮することで、組織は極上のフルーツポンチになっていくのではないかと思います。

女性活躍推進やダイバーシティ推進は思ったより複雑で、たくさんの壁に直面するかと思います。そんな時、頭の中にフルーツポンチを思い浮かべてみるのはいかがでしょうか。

次回のウープロWalkerは、1週お休みで、10/28にイシカワ ナナミさんの投稿となります。お楽しみに♪

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