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セビージャひるね暮らし(17)

※2021年の記録です。

10.2 土 晴れ España旅行第17日目 Sevilla

 9時25分に活動開始。トレーニング。ドゥチャールセ。ジェル身体洗い。

 朝食は、グローリア土産で調える。目玉焼き。ピーマン炒め。トマテ、キュウリ。スモデナランハ。バルで貰ったクラッカー。鍋湯カフェを喫してる、はや10時51分。

 こんくらいの「お寝坊さん」が適当なのだ。それで思い出したが、小学生時代の日曜の朝は遅かった。ごくフツーに9時過ぎまで寝ていた。中学教師だった母親が前夜深酒して熟睡してるんだな。公務員の父親も。で、誰も起きないから、朝飯の時間が昼近くになる。これはしかし、共働きのウチだからで、一般家庭(当時の)は休日でもキチンと早起きして、定時に朝飯を食っていたと思う。

 2枚組プリペイドSIMの1枚目が昨日で期限切れだったので、2枚目と入れ替える。すでにAPN設定済みで、使用可能に。英語と繁字体のMSGが来た。10月16日まで使える。14日出立の15日帰国なので余裕。15日間6Gなのだが、1枚目は400Mも使わなかった。3軒目のアパルタメントのwifi次第なのだが、外でも遠慮せずに遣った方が良いように思う。動画観たりしなければ15日1Gも行かんのじゃないかと思ってる。これもまた「次」への経験値稼ぎ。

 午前中から外歩きすることだし、日焼け止めを塗っておく。スペイン広場へ。土曜日ということもあり、けっこうな人出だった。広場のど真ん中にステージと客席がしつらえてあった。なるほど、これをロサ&グローリアは聴きに行ったんだな。回廊を2周。「軍事博物館」があったので入ってみる。無料で入口ゲートを財布とスマホを預けて通る。ごく小規模な展示。この手が好きなこども用に何枚か写真を撮っておく。「馬用ガスマスク」が珍しいか。

 広場を出て、隣りの公園の、噴水上がってる細長い池の前の日陰ベンチでポメってる12時56分。こっちは打って変わって人が少なく静かである。

 スペイン広場の建物は博覧会用のパビリオンで言わば王宮や貴族庭園のパチモンなのだが、王様や貴族が自分達だけぜーたくに暮らすために作ったモノホンよりも、「民主的」で公益に供され、後世に到るまで刊行名所として役立っているわけよ。こういうのを「けっ」と馬鹿にする性癖は改めた方がいいかも。

 隣りのエリアにテントがたくさん出てたので見に行ったら「世界の国フェス」的な催しで、タイやらアメリカやらメキシコやらその他あれこれの国の食いもんを供している。どれも高い。これもまたツーリスト向けであろう。

 ブーゲンビリア、夾竹桃、プルンパゴ、ランタナ花盛り。他に名前が分からない花も。

 アルカサル公園へ。半分封鎖されてるのは何故? 開いてる方の石ベンチに腰掛けて、手早くポメってる13時28分。暑し。アロハ着てらんない。黒人の兄ちゃんが英語で歌ってるが、ヘタクソ。

 さて、さらに歩くぞ。

 サンタ・クルス街の裏道を抜けていく。大通りと並行したチャリも通れないほどの細道で、ペンションが何軒もある。前にけっこう歩き回ってるんで、意外と土地勘がある。で、知ってる道を左折。細いがクルマがガンガン来る道。たったか歩いて「バル・アルファルファ」へ。混んでたけど、そこらへん一周して適当な店が無いので、戻ってきたら、ちょうど人が出たところだった。前と同じ立ち席でカーニャ2杯にチチャロンで5.10。サクっと飲んでサクっと出る。通常の3倍でシャア並? 店のとっちゃある意味「上客」だろ。手間かからんし。向かいのスーパー「ソル」で30%オフのステーキ肉と安赤ビノ2.35。ゴミ出し用に袋もつけてもらって計5.05。

 帰宅して14時半。赤ビノ開けて試してみる。安いが十分。「こんなん」でいいんだよ、実際。足を洗ってパンイチ。

 ビノだが、スーペルメルカドの棚を見る限り、赤が多い。赤3に白がヘレス(シェリー)その他全部まとめて1くらいの比率。CuneとMatsuが日本でも見るラベル。Cuneが5くらいで、Matsuの若いのが8くらい。とても買う気はせんですよ。そんでも日本の半額弱ぐらい? てことは、3エウロスのビノなら、日本で千円台ということになる。そんなんで十分なんでつよ。

 15時過ぎに寝て、目覚めて16時過ぎ。1時間。適量。しばしゴロった後、スーパー「マス」まで買い出し。食料アレコレ10.52とパン0.35。計10.87。帰宅して18時前。

 そっか「生活疲れ」もあるんだ。日に2回は飯を作って片付けて。そのための買い出しをマメにして。3日に1回は洗濯して。自宅にいる時は、こんなにちゃんとやってない。嫁さんに甘えてることもあるし、万事適当。自分の生活を自分でキッチリ律するのは久びさのこと。でも、これが出来なきゃセビージャに限らずどこでだって「一人暮らし」はできません。それは肝に銘じること。

 鍋カフェを喫しつつ日記をしたためる。昨日の分の家計簿も付ける。

 さあて、今日もリキ入れてパセオすっぞ。全カジェ(通り)制覇までがんばるぞー!

 18時半頃徒歩出立。カジェを歩く。前に泊まったオスタル「シェルペス」に何とか辿り着く。超入り組んだ道の先。よくこんなところに泊まれたもんだと自分を褒めたい。カテドラルとサンタンデールの位置関係が頭に入れば「東西」が分かるんだな。プラノ(町地図)を広げてみれば理解できるのだが、実際に歩くとたちまち迷ってしまう。で、Google Mapはセビージャ旧市街に限って言えば、役立たずである。「有名なお店がここにあるよ!」しか分からない。自分としては今自分がいるのはどのカジェで、どっちの方向に歩いているのか、が最重要なのに。

 20時20分頃帰宅。晩飯は適当。ステーキ…はちょっと食う気がしない。明日朝ちうか昼にしよう。ボケロネスとサーモンで缶セルベッサぷしゅー。パンと赤ビノ追加。

 今日で旅行17日目か。さすがのおいらも日本食…ちうかアジア飯が食いたくなってきた。でもスペインって中華屋ほとんど見つかんないんだよな。糞高い上に中身は怪しい日本レスタウランテになんて最初っから期待していない。5エウロスくらいの焼きそばテイクアウトとか、春巻に海鮮焼きそばか汁そば、それにセルベッサで20エウロスくらいの「小中華」があっても良さそうなものだが、無い。イギリスやドイツみたいに地元料理が貧しいところには進出できるが、スペインみたいにしっかりしたところには入り込めないのかもしれない。チノ経営のアリメントス(食料品店)はそこかしこにあるから、商売自体を規制してるわけではなかろう。なのに中華飯屋が無い。

 それと日本酒や中国酒も売ってない。少なくともスーペルメルカドでは。これもビノとセルベッサで酒文化が「完成」してるからだな。ウオトカやウィスキーなどの強い蒸留酒はあっても、アジア系醸造酒は無い。

 いや、それよりも書くことがあったはず。何だっけ? そうだ。「一人」をほとんど見かけない。若者はグループ。それ以上はカップル。男女だったり男男だったり。バルの「地元爺」も知り合いが必ずいる。一人飲みしてるのはおいらだけ。厳然と「一人」なのは乞食ぐらい。これは特殊かも。メンタリティの問題? 孤高を愛する者は「北」へ、そして「辺境」を目指す。そして「北の酒場」で「一人酒」ちうわけ。「南の都会」の喧騒を愛するのは、ごくごく例外…ってか? これはしかし正解かも。一人でハワイ~行く奴おらんでしょ。おいらは行ったけど。そゆことなのだな。

 そっか。そこが京都と似て非なるところだ。京都は一人旅が少なくない。お寺を回ったり、お茶を頂いたり。セビージャの教会は基本地元だし、地元は当然顔見知りだし。ああそうか。スペインに一人で行くのは「巡礼」。サンティアゴ・デ・コンポステーラこそが「目的の地」なのだ。セビージャは団体旅行御用達。温泉のない温泉地みたいなもんか。

「だが、それがいい」だな。そうとしか言いようがない。日本で例えればどこだろう? 熱海? 松山? 別府? 違う。意外と高知かも。「南国」かつ酒消費量の多さで(笑)

「石畳」がいいんだな。クルマが入ってこれないほど細い旧市街の迷路みたいなカジェの。コンクリートやアスファルトじゃ不可能な古さ。それを踏んで歩くことこそが、身体で「歴史」を感じること。

 楳図かずおの「おろち」であった。「人は町を作り町は人を作る」。担当編集者の入れ知恵かもしれんが、これは真実。ローマ人が建設し、ムスリムが発展させた町。そこにカトリックが新たに住み着くが、彼らはローマ&ムスリム&カトリックに変わってしまう。ほんの数世代で。それが町の力。「郷に入れば郷に従え」じゃないのだ。郷=住環境が人を形成する。自分はすでに形成されつつある。いや再形成か。

 ヒャッハァなアメ公でも割り込み上等のチノスでも、セビージャの旧市街に流し込まれれば、「町なり」に行動するしか無い。クルマじゃ入れないから歩くしかないし、石畳みですっころべば怪我するから、足元を固めなきゃなんない。カジェの名前を一つずつ確認しなきゃ、自分がどこにいるかも分からない。で、1か月も暮せば、いやおうなしにセビジャーノになってしまう。子女は生まれながらのセビジャーノだ。それが「石の都会」の力。木や紙の町じゃダメだし、田舎ならそもそも無理。

 実際のところ「理想の一人住まい」ってどこなんだろう? 意外と「こんなとこ」なんじゃないかと思う。騒音はないが、そこそこの「音」はそこかしこから聞こえてくる。それはベティス通りも一緒。川っぺりでフラメンコ歌ってたり。けして不快じゃない。逆に人里離れて、は嫌。ああそうか。人気と書いて「ひとけ」と読む。それが必須なんだ。

 あえて余分な出費をしてまで、観光地の「都会」で暮らしたいという理由は、自分自身分かりきってるが、他人に説明するのは難しい。要は、偏屈爺の居場所はそこしかないんだよ。例えば近場にバルがあれば、一日一回は行く。複数あれば巡回する。そこでのコムニカシオンは特に求めないが、「何かよく来る爺がいる」認定されるだろう。それで十分。それで、漠然とした居場所がゲットできる。

 そんな自分だからこそ、スペインのバル文化が肌身に合った。アンダルシーアのセビージャならばとりわけ。ふらっと入って、カウンター立ち飲みで、カーニャ2杯にタパス1個。滞在時間は30分以内。だいたいは15分ほどで「お勘定」。こんな飲食が許されるのは、日本とスペインのみ。いや、飲むだけならそこかしこにあるだろうけど、タパスあるのはスペイン限定。

 向かいの建物の窓の浮き彫りの上に鳩が2羽とまって寝てた。彫刻の一部みたいで趣深かったので写真を撮っておく。

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