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五度目のスペイン(6)セビージャ5

セビージャ5日目です。そろそろ飽きてくるかと思いきや(笑)

9.6 木 曇り エスパーニャ旅行6日目 セビージャ

「水色の花」は「プルンバゴ 瑠璃茉莉 ルリマツリ」と確定。南アフリカ原産。ラテン語の「plumbum(鉛)」から来てて、花が鉛の解毒作用を持つことから、と。

 朝食はトマテ丸かじり。全粒バケットとケソのボカディージョ。水。

 荷物を整理して9時前にペンション出立。親父まだ寝てるのだろう。入口は無人だったので、ジャベを置いてプエルタロック解除して出る。レンタサイクルは10時開店。それまで散歩だ。アルカサル庭園のバンコでポメってる9時04分。濃桃と白のキョウチクトウ、プルンバゴ花盛り。

 朝でも夜でも公園でも、非常に治安がいい印象なのがセビージャ。ピストルはもちろん、自動小銃まで持ったおまわりが要所要所にいるおかげさまかもしれん。そもそもヤバそうな手合いが目につかない。麻薬の売買っぽい雰囲気も無いし、泥酔して寝込んでるホームレスもいない。徹夜明けでヒャッハアしてるノーフューチャーな若い衆もいない。せいぜい乞食だけ。そんだけ「観光」に力を入れて、あれこれをしっかり管理しているからだろう。

 他に無いもの。コンビニ。中華屋。…自販機が無いのはどの国も一緒か。書店が無いのは前に書いたが、昨日大学前の大通りを歩いてたら「書店跡地」を発見した。

 レンタバイク屋隣りのカフェに移動。カフェコンレチェ1.2をポルファボールした9時40分。

 基本語彙を辞書で確認する。montar en bicicleta(自転車に乗る) こんなひと言であっても、普段使うものでなければまるで身についていない。言葉なんてそんなもんだ。使ってこそ身につくし、でなきゃどんだけ暗記しても無駄。

 10時過ぎにチャリ屋へ。パサポルテ(パスポート)預けるのはちと何だったが、とまれ3時間7エウロスでママチャリもどきを借りる。サンタ・フスタ駅を目指す。思ったより遠く、一度戻ったりしてルータを確認していく。けっこうな距離。徒歩は無謀であるな。駅前駐輪場にしっかり鍵かけて駐輪。タキジャで番号札とってしばし待つ。メモ見せながらハッキリ発音。さすがに一発で通った。で、9月10日(月)11時45分セビージャ発、15時12分グラナダ着のビジェテをゲット。30.15エウロス。タルヘタ支払い。

旅日記を読み返して分かったこと。当時より今のほうが数倍歩けてる。3年後の2021年秋にセビージャにロングステイしたのですが、その時は中心部からサンタ・フスタ駅まで何度もフツーに歩いています。

 駅周辺をぐるり回ってみるが、広くて良く分からんし、方向を見失いそうで怖い。どの道、泊まれるような土地じゃないっぽいし。いい気になって走ってると道に迷うぞ、と、来た道を戻ろうとしたのだが、駅から先、プチ方向を見失う(笑) で、Carmona大通りを反対方向に走らんとするところだった。地図持ってて良かった。思うに、右側通行なんで、曲がったところで方向を見失うんじゃないかと。

 で、次宿を探す。Menéndez y Palayo大通り沿いのフロリダ、ちと入ったペンション2軒と、3軒続けて「満室」とのこと。金曜はどこも一杯? こりゃ困ったな、と。取りあえず、12時過ぎにチャリを返却。パサポルテしっかり受領。

 徒歩で、「ドーニャ・トリニダッ」の筋違いのペンションを訪ねる。婆ちゃんがいたのでエスパニョル教室。スビルが一瞬分からなかった。subirか。上あがって部屋みろ、ちうことだったんだ。上がる。窓のない、トイレとの境の壁もない「独房」部屋。32だそうだ。ま、共同ドゥチャでいいかな、と決めようとしたら、マリド()がいないとダメなんで、明日10時に来てくれ、と。それで別れて、トリニダッに戻る。で、親父にダメモトで聞いたら、ここは一杯だが、同経営の「Hostal Fabiola」が開いてるという。40台。もうそれで3泊頼んじまった。こっから徒歩2分。明日連れてってくれるってよ。で、婆ちゃんとこ戻って、事情を説明する。ムーチャスグラシアスと言い合って別れる。大事だよね、こういうのって。

 この時点で12時半。腹が減ったので、また「カルネ」へ。もうバルはここだけでいいや。トルティージャデカマロネスをペディール。酒はカーニャペケーニャ。白ビノも飲んじまうぞ! の12時59分。人目はばからずポメってる(笑) 勘定は6.55。7置いてく。

 帰ペンションして、赤ビノ+ケソ。シエスターの14時過ぎ。

 起きて16時。今日は比較的静かだった。服を着て出立せんとしている16時33分。

 久しぶりに町の北部の迷路街へ。2番目のオスタルのあるコーラルデルレイ、アルファルファ広場、最初のオテルがあるSantillanaを抜けて、「セタ」こと「メトロポル・パラソル」へ。3エウロス入って展望台に上ってみる。これは珍品。ちょっとしたアリス・イン・ワンダーランド感を味わえる。キノコごしに町の風景を何枚か撮影。でも、けして繁盛してる感じはしない。1階(2階)のイベントスペースは閉鎖されてるし、地階(1階)のメルカドは営業時間外だし。歩いているのはドイツ人か田舎者スペイン人か。「新名所」としてはイマイチ成功を掴みかねているようである。

 広場にこども向けの書店があったので覗いてみたが、うーん、食指が動かん。つか、紙の本は基本的に買わんし。

 バス通りを歩いて、32番のバス停へ。その先、シェルペス街を歩く。これが発見。昔ながらの目抜き通りじゃんよ。東京で言うなら銀座。老舗らしき店と高級ブランドと。
 書店があったので入る。セビージャの市街地図の、今度こそ「ちゃんとしたの」を買う。7エウロス。そんくらいはするだろう。で、この書店、奥がずいぶん深い。行ってみたら、なんと、元劇場だった建物を書店にしたらしい。緞帳がそのまま残っていて、舞台がコミック売り場。これは素晴らしい。なんちゅうか、視察や見学が入るレベル。その先にもう一軒書店があったので入ったが、こちらはカトリック専門店。

 思うに、新しい町に入るのに日曜は避けた方がいい。こんなところだとはじぇんじぇん分からんかった。グラナダ入りを月曜にしたのは我ながら賢明だと思う。

 スーパーソルで買い出し。赤ビノ5.00、ハモン・イベリコ6.99、トマテ0.44、エスパラゴ瓶2.25で、14.68。帰ペンションして荷物を整理し、再出立。

 で、バス通りのバルでカフェ・コンレチェでポメってる19時18分。もう人目は気にしない。

 ああそうだ。「セタ」で一つインチキ発見。3エウロスで入ると「飲み物無料券」的なレシートをくれるのだが、無料じゃなくて1エウロ引き。で、唯一開いてる2階(3階)のバルで、一番安いカフェが2、トロピカルドリンクみたいなのが5だから、客をなめてる。カフェなんて、街場じゃ1.1か1.2じゃんよ。

 さて、よろっと「いつもの」へ行くかな、の19時24分。

 いつもの「プエルタ・デ・ラ・カルネ」でカーニャ、サルピコン、白ビノで6.45。7置いて出る。こんくらいだとちょうど感かも。ま、何度も行ってる店だから、均してもらえりゃいいんだが。…ここいらへんの気にしいが、日本人なのであるな、と自覚する。そういや、1日夜にゴンサロと飯食った時だが、タルヘタ(クレジットカード)支払い後、小銭を置いていた。なるほど、こうするのか、と納得。

 セビージャはまだまだ攻略の余地が十二分にある。シェルペス周辺はもっぺん歩いてみたい。ま、幸いにして(笑)、日数はまだまだあるしね。

 シャワー。石鹸がまるで泡立たない。水質、それとも石鹸の質? とまれ全身洗う。ちゃんとお湯が出るのはありがたいこと。だけど、あんまり切実じゃないんだよな。亜熱帯モンスーンの東南アジア(夏の東京もその一部)と違って。風呂入りたいなんて、まったく思わないし。

 赤ビノ、ケソとハモン・イベリコで飲み直す。新しく買ったプラノ(市街地図)に泊まったオテル、オスタル、ペンションの場所と名前を記入する。

 前の赤ビノを空けて、今日買った5.00を開けてみる。リオハのクリアンサ2015年。ブドウはテンプラーニョとガルナッチャ。マルカは「Lagnilla」とある。…うん、これは旨い。5エウロスって、800円くらい? 日本でなら2千円台つけてるだろうし、店で飲んだら5千円とれる。こういうのこそが、旅する楽しみなのだよ。

 角田光代の「まひるの散歩」を読んでたら「スペインバルに興奮の旅」という章があった。要は、仕事の取材でサン・セバスチャン行ったら、ピンチョスがメチャうまかった、という当たり前の内容(笑)なのだが、気になったのは、「16年前の26歳の時、女友達と二人で初めてスペインへ行き、20日ほど各地を回ったが、食事に辟易した。夏場でオリーブオイル多用の食事が口に合わず、ガスパチョばかり飲んでた」てな下り。で、「10年前にモロッコからポルトガルに行く際にスペイン通過したが、前の体験で懲りて、中華屋や軽食屋オンリーだった」と。
 他の凡百ならともかく、旅の達人(と自分は尊敬してる)角田に限って、そりゃないだろう、と思ったのだが、「ある」かもしれん。英語メニューのある店で、アメリカ人やドイツ人と食ってたら、と。

 どこの国も多少はそうだと思うのだが、エスパーニャの場合、観光客向けの飯と、現地民がフツーに食ってる飯に、相当の差があるように思う。自分が「カルネ」でつまんでるのは、まあ、地元飯だよね。「飯」というよか「おつまみ」。でも、そこらへんのテラサ席で観光客が食ってるのは、カラマレスやら何やらのシーフード丸揚げだったり、馬鹿でっかい肉の焼いたんだったりで、それにパタタスフリトスが山のようについてる。モノホンのレスタウランテで、ちゃんと食えば、エントレメセスから、プリメールプラト、セグンド、ポストレまで、旨いもんをしっかり食えると思う。量は別として。でも、観光客向けの、一日中開いてる店で、一品となったらば、上記「バケツご飯」の可能性大だろうよ。

 そうだ。そもそも飲食店がフルタイム開いてるなんてのが異常事態なんだ。去年自分がエスパーニャ旅した時は、観光客でもスペイン人相手の店は、早くても20時、ほとんどは21時過ぎなきゃ開かなかった。そんで晩飯食うのに苦労したんだから、よく覚えてる。

 陽が沈む前に晩飯食うなんて、こどもかアメリカ人かドイツ人だけだって。肉食ってナンボ。出来ればサラダちうか生野菜。どちらも「量」が重要でバケツ上等。魚介類は「シーフード」と一括りにして、「揚げる」が基本。親の仇のように入念に揚げ、「魚臭さ」を完全に消し去る。幸いにしてエスパーニャはオリーブオイルの世界最大の産出国。揚げ物コストは究極の安さ。

セビージャ旧市街の道は超狭い上にクルマを通しているから大変です。しょっちゅうそこかしこで目詰まりを起こしている。市内限定でいいから、日本製軽自動車の使用を強く推奨したいのですが、いかがなものなのでしょうか?

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